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螺鈿迷宮

というわけで今日はこちらのインプレを。

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ええっと、螺鈿迷宮。チームバチスタの海堂氏による一作で、 終末期医療(ターミナルケア)を題材とした物語。ターミナルケアというのは、死に瀕した直前にいかに QOL (人生の質)を高めてもらうのかを主眼に置いた治療を行うもの。今回の作品は、今までの 2 作からちょっと外れたサイドストーリー的な物語になっていますが、いやはやさすがという印象。

本編の主人公は、東城大学で留年を繰り返す崖っぷち医学生の天馬大吉。それと相対するのは、桜宮の闇を司る桜宮巖雄とその一族たち。終末期医療の先端施設に隠された光と影、そしてその奥で待ち受ける死の番人とも呼ぶべき桜宮巖雄、という物語の構図は非常に面白く、特に桜宮巖雄のキャラクター像が実に見事。

「おい、そこのできそこないの医学生、これが最後だから、耳をかっぽじってよく聞けよ。
死を学べ。死体の声に耳を澄ませ。
ひとりひとりの患者の死に、きちんと向き合い続けてさえいれば、いつか必ず立派な医者になれる。」

これは海堂氏がここまでの 2 作でも散々繰り返してきたテーマであり、ここまでの 2 作の題材である Ai (オートプシーイメージング、死亡時画像診断)とも繋がるテーマ。これを若きおちこぼれ医学生である天馬大吉に聞かせ、そして一連の体験を通して天馬が立ち直っていく、という構図が実に見事で、読後感の良さは今までの 2 作以上と言えるかもしれません。

確かに内容的には 1 作目ほどの力強さは感じられなくなっていますが、普通に面白いのは確か。先日、「ジェネラル・ルージュの凱旋」も単行本化されたので、ぼちぼち読んでいこうと思います。


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