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チャネルビジネスとコンテンツビジネス

ふう~、blog 書き終わり。といってもここの blog ではなくてお仕事関係の blog。 実は 8 月ぐらいからお仕事関係の blog を始めたのですが、さすがに複数の blog を同時に更新するのは結構な負荷。このサイトはまあ趣味な blog なので楽しいのですが、お仕事 blog は完全に仕事で有益な情報を発信するためのものとして作ったので、1 個のエントリ書くのに数時間は軽くかかるワナ;。mixi でアンケート取ってみたら、blog といいつつ Web 記事ぐらいのボリュームがあるので分割するなりなんなりして長く続けてほしい、なんていう意見もあったのですが、まあ確かにうまくやり方考えないときっと息切れするだろうなぁ、とは思ったり。(でもまあ半年ぐらい続いてはいるのですが^^)

もともと仕事関係で blog を始めたきっかけは、書籍執筆以外の情報提供のチャネルを模索していたため。以前から blog をやったらどうか、というアイディアは出ていたのですが、なまじ下手に始めて炎上しようものなら取り返しもつかないわけで、組織的にも結構及び腰だったのですが、最近は空気が変わってきて、「まあとりあえずやってみ?」なモードに。そんなわけでやり始めてみたのですが、開始してから 1 か月たった頃にはすでに挫けそうに(苦笑)。いややはり大変だよなぁ、という。

ただ、実際問題として仕事関係だと価値のある情報だと思ってくれない限りは継続的な購読者にはなってくれないし、そもそもライトな内容で読者を魅せ続けることの方がよほど難しい。なのでペースを落としても価値を失わないようなエントリを書き続けるしかない、と思って書き始めたのですが、やっぱり価値のある情報をきっちりまとめようと思うと、書籍程ではないにしても時間がかかるんですよね。それなりにかちっとした情報を、となるとだいたい 1 エントリあたり 3~4 時間ぐらい、下手すると 6 時間とかかかることもある。仕事関係といっても業務の一貫ではないので空いた時間や休日などを使って書いてるのですが、いやこれだと今のこのゆるぐだ blog を書くほうがよっぽどラクな気すら。

にもかかわらず、それでもこの取り組みを続けようと思っているのは、専門技術の情報を届けようと思った場合、(少なくとも現在の仕組みの)書籍や出版というチャネルを使うのは非効率的だ、と感じているからなんですよね。そのように感じてしまう主な理由は以下の 2 つ。

  • 書籍の場合、購入者側が必要以上に「正確無比・完全無欠」な情報を求めてしまう傾向がある。
  • 出版ビジネスは、結局はコンテンツビジネスではなくチャネルビジネスである。

まず一点目について。私は今まで 8 冊ぐらいの書籍を出版しているのですが、今まで出版社の人とやり取りしたり、あるいは読者の方々から受けたフィードバックなどを元に総じて言うと、「書籍に書かれている情報には誤りがあってはならない」という思い込みがあるように思うんですよね。実際には情報は陳腐化していくものだし、100% ミスのない書籍を書くことなど事実上不可能なわけで、そこに対するプレッシャーが必要以上に強いと、そもそも書籍を書く意欲や気力がそがれる。特に書籍の場合、校正や修正時の編集さんとのやり取りのオーパヘッドが異様に大きいので、重箱の隅をつつくような修正をちまちまと求められると、正直かなり精神的に疲れる、というのがあります。(っつーかぶっちゃけ同人誌のように自力で版下原稿作って修正しちゃった方が圧倒的にラクなんだけど、みたいなところが;;)

そして二点目。これは非常に重要なことなのですが、出版業界って、基本的にはコンテンツビジネスではなくて、チャネルビジネスなんですよね。分かりやすくいうと、書籍に書かれている内容に基づいて価格が決まるのではなくて、ページ数に基づいて価格が決まる。これは私も実は実際に書籍を出版してみてびっくりしたのですが、版下の作り方を変えてもらったところ、書籍の製作費が数百万円単位で低減できた → 書籍の定価が 1,000 円近く安くなってびっくり;。今までの経緯と内容を考えると 1,000 円高くても十分売れるだろうと自分は踏んでいたのですが、え゛ー、というか今までの価格設定はなんだったんだー、とツッコミを入れたくなってしまったり。まあこれはもっと身近な例で言えば、良作だろうと駄作だろうとコミックスは一律 450 円、みたいな話。要するに、大手の出版社といえど、やってることは同人誌を印刷してる印刷所と実は大差がなくて(違う点は執筆者~印刷~配送~書店というチャネルを押さえている点のみ)、とにかく総印刷ページ数を増やすか発行部数を増やすかしないと儲からない仕組みになってるんですね。

でも、多くの書籍はそれ単体で儲けが出るほど売れるわけではない。特に専門書の場合は 1 万冊も出たらベストセラーですが、一方では 1,000 冊以下なんて本もごろごろしていて、ぶっちゃけ同人誌と何が違うんだ状態な本がたくさんある。自分がやってた昔の同人誌だって 400 冊ぐらいは印刷してたわけで;、数千冊程度の書籍では雀の涙のような印税しか出てこない。にもかかわらず、敢えて書籍を書く理由は、結局、広く書店に並べるという、出版社が持っている販売チャネルを使いたいから、なんですよね。(この構図はテレビアニメとテレビ局の構図と同じ;)

# その昔、マンガは紙を売るためのおまけだ、と言われた時代もあったそうですが、
# ある意味象徴的なセリフかも。ちなみにこの点については、とらのあななどの同人誌
# ショップというのは印刷と販売チャネルとが明確にに分離されているモデルになってて、
# ある意味では健全な側面を持ってますね。

もちろん出版業界に関しては、昨今多少は改善の兆しがあるようには思うものの、まだまだ旧来のビジネスモデル(チャネルビジネスモデル)ベースで動いているというのがおそらくは実態。となると、出版社が持っているチャネルを利用しようと思う側の人間(=コンテンツを提供する側)からすると、もしそれ以外のチャネルで有効なものがあるのならそちらに乗り移るのは当然の話。コミックスの場合にはそれが同人誌(コミケット)というチャネルだったわけですが、では専門技術情報の場合には? となると、やぱりインターネット、という話に。それで blog というチャネルを使い始めたのですが、……まあこれはこれでやっぱり大変だなぁ、という感じが。

まあ要するに、blog にしろ書籍にしろ、情報提供の手段をうまく使い分ければよい、という話なのですが、 blog に関してはチャネルの特性がまだ体感的にわかっていないところがあるのでもう少しいろいろ試してみる予定。特にいいなぁと思うのは、やはり読者の反応が直接見られるというところ。ページビューだけでは読者の評価が完全に分からないところがありますが、

ページビューに加えてソーシャルブックマークをあわせると、情報に対するニーズと評価がほぼ的確に分かる。

というところが特に便利。どのへんに情報ニーズがあるのか少しずつ分かってきたのですが、もうちょっと続けて様子を見てみたいものだなぁとは思ったりします。


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