最近のトピック

バナー
Cirque Du Soleil - Corteo コルテオ

というわけで今日はこちらに行ってきたり~。

CAIIF5F6 CAKZJ664

えーと、原宿で公演中のシルク・ドゥ・ソレイユのステージショー、コルテオ。 シルクのショーを見るのはもう何度目なのか自分でもよく分からなくなりつつありますが;、昨年 9 月に見た ZED 以来なので約半年ぶり、という計算。今回も実家の両親+妹夫妻の 5 人で見てきた……のですが、

んー、結構びみょい;;。(苦笑)
いや、まあ普通には面白かったんですが、感動するほどでもなかったかなぁ、という印象。

まあいかんせん、以前に見た ZED が神すぎたのがいけないのですが;、ちょっとこれは自分的にはイマイチなじめないかも~、という感じだったり。端的に言えば、ちょっとクセのあるショーだと思ったのですが、ざっとまとめてみるとこんな感じ。

■ バックストーリー

そもそもタイトルの「コルテオ」というのはイタリア語で「行列」の意味なんだそうですが、作品での意味は「葬列」。コルテオの主人公は、死の床に伏せるひとりのクラウンで、彼が今際の際に自らの人生を振り返りながら自分の葬儀を夢想する……というのがバックストーリー。「コルテオ」というのはそうした葬儀などに集まってくる人々が作る行列のことをイメージしている言葉。

自らの人生を締めくくるとき、そこにどんな人が集まってくるのか、そして自分のことをどんなふうに思ってくれるのか。それは故人にとってのかけがえのない財産。そうしたものをステージ上に表現することで、今、生きている自分たちがどんなふうにそうした財産を作っていくのか、どんなふうに友情や愛情を育んでいくのか、そんなものを訴えかけるショーになっています。

他のシルクのショーに比べてテーマ性が非常に強いこともあってか、日本語や英語で説明が加えられるのもコルテオの特徴(シルクの他のショーは基本的にはイメージ優先で、言葉を使うことはない)。ステージ開始直後に、死の床に伏せるクラウンについての説明が加えられたのがちょっとびっくりでした。

■ ステージセット

今回のコルテオでびっくりしたのはなんといってもステージセット。こちらの座席表を見てみると分かりやすいのですが、ステージに対して左右両側に対称的な配置で座席が置かれており、360 度に近いステージ構成に。座席から見ると、舞台の奥がすっぽり突き抜けたようなステージ構成になっていて、ちょうど演者の向こう側に、向い合わせに座っている他のお客さんたちが見える、という面白い構成。演目も左右の動き(=行列の動き)を強調するようなものが多かったです。

■ 演目

クラウン系の演目(ショートコメディなど)を除くと約 13 演目。ざっと書き出してみると、こんな感じ。

① シャンデリア
主人公が眠るベッドの上で、シャンデリアに 4 人の女性(主人公の過去の恋人という設定)がぶら下がって華麗なアクロバットを繰り広げるもの。清楚な衣装から艶やかな衣装へ変身するなど、テーマ性の強い演出もありました。

② バウンシングベッド
ひとことで言うと、まくら投げ(え?w。トランポリンタイプのベッドを使ってパジャマ姿のアーティストたちが縦横無尽に飛び回り、まくらを組み合わせた演目を披露。……いやこんなアクロバティックな子供たちがいたら凄すぎるわけですがw。

③ シル・ホイール
巨大な金属製のフープを巧みに操って、ステージ上を自在にぐるぐると駆け巡る演目。確か 2 本のホイールを組み合わせたようなフープを使う演目は過去にもあったと思うのですが、1 本のホイールを使うものは初めてかも。ちょっと見たことのないタイプのものでしたが、単に走り回るだけでなく、停止しかけたホイールを力技で起こしていくのにはちょっとびっくり。

④ タイトワイヤー
いわゆる綱渡り……なのですが、トゥシューズを使ったり一輪車を使ったり、さらにはロープ上でフラフープを回すなど、様々な演技を披露。びっくりしたのは 40 度程度の傾斜のある、斜めに張られた綱をゆっくりと登っていくところ。普通に上るのにも苦労するような斜度のある傾斜を、ずり落ちながらもバランスを取りつつ登っていく姿にはかなり驚きました。

⑤ フット・ジャグリング
台の上に寝転がって、多数のフラフープを手と足の両方を使ってジャグリングするという驚異の演目。足によるジャグリングが普通じゃない、という印象で、しなやかかつ正確無比なフープ渡しに思わずうならされました。

⑥ ヘリウム・ダンス
風船に乗って飛ぶ
という子供のころの夢をそのまま形にしたような演目。大量のヘリウム風船に吊り下げられたアーティストがステージから観客席に放り込まれて、みんなでトスしていくというもの。別に技術的にはどうということもないのですが、子供のころの夢を思い起こさせてくれる素敵な演目でした。

⑦ ディーターボード
シーソーを使った宙返りなどのアクロバット……なのですが、構成が面白い。シーソーの両側に配したチームがお互いに技を競い合い、いがみ合うものの、そのうちにお互いを認めて、最後には無二の熱い友情が生まれる、という構成になっていました。

⑧ パラダイス
ステージ上に一直線にトランポリンを配しておき、その上に作り上げられたセットで人間空中ブランコをやる、という演目。びっくりするのがこの人間空中ブランコで、普通であればトラピス(空中ブランコ)を使うところなのに、屈強な男性が腕の力だけでアーティストをぶん投げる、というとんでもない力技を披露。いやちょっと無茶すぎる^^。(ちなみにコルテオには普通のトラピスがなかったです)

⑨ アダージョ・デュエット
ステージ中央に配された小型リングの上で、リトルクラウン・クラウネスが巧みなバランス体技を披露する、というもの。(調べてみたところ、この演目を演じていたのはご夫妻みたいですね。)

⑩ ジャグリング
4 人のジャグラーによるジャグリング。シルクでは定番的な演目なので、大量に飛び交ってもあんまり驚かない……のですが、フープを組み合わせたダイナミックな演技は見事でした。

⑪ ラダー
その名の通り梯子を使った演目で、梯子を華麗に上ったり下りたり、さらにはその上に逆立ちしたりする演目。そのバランス感覚たるや超人的で、ラストで一段高い梯子が出てきてその上に逆立ちしたときにはさすがにびっくり;。

⑫ デュオ・ストラップ
布っぽいロープを使ったエアリアル演目。これもシルクでは定番の演目なのですが、見事だったのは演技そのものよりもテーマ表現に力点を置いていたところ。エアリアルというととにかくせわしなく動く、というイメージが強かったのですが、男女のペアが優雅に空を舞う姿を表現することに力点が置かれていた、という印象。

⑬ ツアーニク
箱型に配置した鉄棒 4 本+左右に配置した鉄棒 2 本を使って、8 人のアーティストが縦横無尽にシンクロ演技を繰り広げていくもの。一人でもタイミングがずれるとアウトな演目で、見事に息の合った鉄棒演技が見事でした。

……と、アクロバティックな演目を中心にざっと書き出してみたのですが、他のシルクの作品に比べると、アクロバットサーカスとしてのハデさには欠ける、のですね。しかし一方で印象的だったのが、演目の間の繋ぎが非常に綺麗だったこと。他のシルク作品の場合、「なぜここでそのクラウンのそのショーになるんだろう??」と疑問に思えるような幕間も多かったりするのですが、そうした違和感がほとんどない。パフォーマンスよりもストーリーを重視している、という印象で、自らの人生を振り返りつつ、天国へ召されていく、というストーリーラインを表現することに力点を置いている、という感じでした。

■ 総じて言うと。

というわけで、今回のコルテオは非常にストーリー性の強い作品。パンフレットにはエピローグとして、このコルテオの演出を行ったダニエル氏のこんなメッセージが書かれていました。

We live in an often sad and baffling world.
I remember my grandmother used to tell me never to look at the floor, only look up.
Corteo is a show that looks up.
(私たちは、悲しみや不可解なことも多い世界に生きています。
それでも下を見ないで、いつも上を向くようにと、私の祖母が言っていたのを覚えています。
『コルテオ』は、上を向いている作品です。)

なるほど確かに非常にわかりやすくて、我々は自分の死や自分の葬式を夢想することを通して、自分たちの人生にとってかけがえのないものは何かを知り、それを育んでいこうとする。その考え方は、おそらく世界中の多くの人たちにとって共有できるものだろうと思うし、どんなふうに見送られたいのか、というのも、かなりの人たちが共有できるものなのだろう、とも思うのです。

ただその半面、そのステージを表現するためのモチーフについては、日本人だと共有できないものがちょっとあるなぁ、とも思ったのですよね。例えば、ステージ上をたくさん舞う天使のイメージや、舞台の幕に描かれた素晴らしい絵画。これらは基本的に西洋にある「天国」のイメージであって、日本人や東洋の人たちの持っている「極楽浄土」的なもののイメージとはかなり違う。私の場合、ここのところのギャップがうまく埋められなくて、見ている最中、なんかずーっと違和感というか、疎外感みたいものを感じてしまっていたのですよね。そういう意味で、コルテオはちょっと人を選ぶ作品だなぁ、と思ってしまうのですよね。(まあ、これはこういうもの、として楽しむことは私にも普通にできるのですが^^)

ステージ構成やテーマ性の設定などいろいろ楽しかったし良い作品だとは思うのですが、感性的には自分とちょっとズレてたかな? という感じの作品。なまじ ZED が日本人に対して直球勝負、みたいな作品だっただけに、コルテオの方はちょっと残念~;、という感じでした。……まあでも全世界を回るツアーショーなんだから、当たり前ではありますけどね^^。

# というかレジデントショーと比べるな、というツッコミはなしで;。
# なんかこう、無駄に舌が肥えてるような気がしてあんまりよろしくないかも~(苦笑)。


トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.pasteltown.com/akane/games/blog2/mt-tb.cgi/231


コメントする


2014年9月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30