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出社が楽しい経済学

というわけで今日はこちらのインプレを一つ~。

20090409

えーと、出社が楽しい経済学。身近で日常的なテーマを経済学から解き明かそう、みたいなノリの一冊。NHK の番組に合わせて制作された本のようで、私はテレビの方は全く知らなかったのですが書店で見かけたので購入してみたり……したのですが、これがなかなか面白い。

取り扱われているのは全 12 テーマ。自分の備忘録も兼ねてまとめてみると、こんな感じ。

  • サンクコスト
    かけたコストの中には回収できないコストがある。回収できないコストに関しては忘れろ。
  • 機会費用
    お金を稼ぐ機会を作るためにコストをかけても構わない。トータルとして黒になればよい。
  • 比較優位
    遊んでる人がいるなら、できる作業を振った方がトータルとしての生産性は高くなる。
  • インセンティブ
    価格などを操作して誘導すると、小さなコストで大きな実効性が得られる。
  • モラルハザード
    取引前や取引後に、持っている情報の格差を利用して不正を働くこと。
  • 逆選択
    悪貨は良貨を駆逐する。悪貨が大量に出回ると、結果として良貨を扱う人がいなくなってしまう。
  • 価格差別
    同じ商品を、高くても買いそうな相手には高く売りつけること。
  • 裁定
    同じ時点での商品の価格差を利用して稼ぐこと。グローバル化が進むとやりにくくなる。
  • 囚人のジレンマ
    正直者は馬鹿を見るため両者が裏切りを行い、結果として両方が損をする構図になること。
  • 共有地の悲劇
    みんながタダで使える共有物を過剰利用した結果、共有物が破壊されてしまうこと。
  • 割引現在価格
    未来のお金は現在時間の価値に換算すると目減りする。
  • ネットワーク外部性
    「つながる」ことに意味や価値があるために、進化が遅れることがある。

割引現在価格などについては普通に知っていましたが、こうした経済学の考え方をうまく日常生活の事例にあてはめたのがこの本の面白いところ。例えばサンクコストのテーマの場合、

Q:「5年間貢いできた彼女がいますが、別れ話が出るたびに高価な品物でつなぎとめました。ここまでお金をかけてきたのでまたプレゼントをしてつなぎとめるべきでしょうか?」
A:「いえ、これ以上貢ぐべきではありません。今まで贈ったものはもう戻ってこないのであきらめましょう。」

みたいな感じ^^。経済学の様々な考え方を身近な素材で楽しく学べるのに、結構深い話まで書いてあったりするのが面白い。

個人的に面白かったのはインセンティブの話。インセンティブというのは高額な報酬を与えて動機付けをする、みたいなイメージがあるのですが、実際にはそうではなくて、ちょっとした方向づけを与えることで、コスト効果の高い実効性を得ることができる、というもの。なるほどねぇと妙に納得してしまったり。

扱われている話題が身近なので読んでいて楽しい一冊。番組が見れなかったのがちょっと残念ではありますが、気軽に読める一冊なので興味がある方はぜひ手にとってみてください。


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