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とある飛空士への追憶

これは長らくファナの身のうちで眠っていたなにかだ。
ファナでありながらファナではなく、しかし間違いなく彼女自身とともに在った何か―――
それが思考へ、精神へ、肉体へ、尽きせぬ水脈のごとく迸る。

いやこれはとんでもない名作を引き当てました……。

20090507d

ガガガ文庫から出ているラノベ、「とある飛空士への追憶」。夏のこたつさんから強力なプッシュを受けてとりあえず読んでみたのですが、思わず一気読み。いやはやこれは素晴らしい作品じゃないですか。

ストーリーラインは非常にわかりやすくて、戦地の真っただ中に取り残された未来の皇妃ファナを、傭兵飛空士シャルルが複座式水上偵察機サンタ・クルスに乗せ、1万2千キロの敵中を翔破し、神聖レヴァーム皇国まで送り届けるというミッション。圧倒的な物量差と戦力差を持つ帝政天ツ上の執拗な攻撃をくぐり抜け、約 4 日間のフライトを成し遂げる……というストーリーなのですが、これが実に素晴らしいのですよ^^。

ストーリーラインも素晴らしいのですが、なにより驚くのはその筆致力。スピード感あふれる激しいドッグファイトといい、遥か遠く彼方まで続く青い空と海の描写といい、まるでその皮膚感覚が伝わってくるかのよう。心を失ったお姫様が、死の淵に追いやられて自分の心を取り戻していくそのプロセスの描写も見事。日本と西洋の文化を模した国を使うことでイメージも湧きやすくなっているし、一方で大瀑布と呼ばれる、高さ 1km ほどの異形の海の滝などの舞台を使ったり、巨大な飛空艇を何隻も登場させたりすることで、独特の世界観も形成している。そのあたりのバランス感覚も見事。またエンディングやエピローグも素晴らしくて(一応ネタバレ回避のため伏せておきますが^^)、読後の清涼感がホントに素晴らしいのですね。

ストーリーの尺としてもちょうど 1 本の映画分ぐらいなので、これはぜひ映画化して欲しいなぁと思うところ。なかなかお目にかかれない名作じゃないかと思うので、ぜひ一度手に取って見てみてください。


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コメント(3)

楽しんでいただけたようで何よりです。たまにこういうのがあるからラノベ読みはやめられない。

ファンタジー版「ローマの休日」と煽って女性客も見込めそうですし、映画化は私も強く希望します。商業的にも成功すると思うのですがね。ちゃんと作れば。

読後に表紙を見返すと、もう、ね。

去年から口コミ含めて評価の高かった作品ですね。実は次作も大分前にでていたり。(私はそちらは未入手ですが)映像化(というか尺的に映画化)向き、というのは私も思いました。新海誠作品レベルで作り上げられれば大化けするかも。ではでは。

読みました!!
とりあえず、ラストがハッキリしないよぉ!!!
・・・次作に続いているのでしょうか?!

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