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書評:それは、「うつ病」ではありません!

というわけで今日はこちらの書評をひとつ^^。

20090919j

某氏からお薦めされた一冊、『それは、「うつ病」ではありません!』。なかなかいい本だよ~、ということでおすすめされて読んでみたのですが、ああなるほど確かにこれは分かりやすくていい本だなぁと思ったり。

要点をひとことで言えば、「うつ病」と「うつ症状」は違う、ということ。うつ病とは、簡単に言えば心のエネルギーが完全に切れている状態で、何事に対しても無気力になってしまう状態。これに対して、うつ症状というのは気分障害の一種であって、他のさまざまな精神疾患の中で現れる症状である、というもの。ここの部分をきっちり区別しないと、本当に救うべきうつ病の人を適切に救えない、というのが本書の主張。なるほどこれは分かりやすいなぁと感心してしまったり。

例えば、本書の中で取り上げられていた、「うつ病」と勘違いされやすい二つの症例として挙げられていた、「境界性パーソナリティ障害」(ボーダーラインパーソナリティ障害、略称「ボダ」)と、「統合失調型パーソナリティ障害」(昔で言うところの分裂病、略称「シゾ」)。これらはうつ症状を示すことはあっても、うつ病とは異なるものであるため、うつ病に対して有効な投薬は逆効果になることがあるし、また周囲の対応も、通常のうつ病の人と同様な対応ではいけないケースがある。しかし、一般の人にはそうした知識がなく、うつ症状とうつ病の区別がつかない人も多い。しかも患者によっては、「うつ症状」であることを錦の旗のごとくふりかざすケースもある。(※ 本来うつ病の人は、振りかざす気力も起きない) こうしたことに警鐘を鳴らしている一冊なのですよね。

# 参考までに、「境界性パーソナリティ障害」はものすごく簡単に言うと「極度のわがまま病」。
# 「統合失調型パーソナリティ障害」はものすごく簡単に言うと「謎の電波を受信しちゃってる病」。
# どちらもうつ病とは全く違うものなのですが、ちゃんとした本格的な対応は専門家に任せるに
# しても、ある程度の知識を持っておくことは、「自分の身を守る」上で重要なんですよねぇ。

精神病というある意味非常にナイーブな内容を、バッサリと論理的に切って分かりやすく説明しているため、そんな乱暴な主張はひどすぎる、といった話も一部にはあるようなのですが、誤解を恐れず、これぐらい分かりやすくバッサリとやってしまった方がいいんじゃないか、と思うところもあったり。「こういうケースもある」「ああいうケースもある」と言うことは簡単なのですが、ざっくり 70 点ぐらいが取れる説明をまず先にする、ということも大切だと思うのですよね。巻末には、「うつ病ではない」ことと「助けが必要」なこととは別の話である、という主張があったのですが、ある意味、「うつ病」というものが神格化されつつある現代においては、こうした警鐘はものすごく重要なんだよなぁ、と思います。かなりおすすめできる一冊なので、興味がある方は読んでみるとよいと思います。


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コメント(1)

私も読みました!
正しい知識、判断がないと、本当のうつ病の人が救われないなとひしひしと感じました。
一般人にもわかりやすい本ですね。

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