というわけで、今日はこちらの書評をひとつ。
ええっと、「仕事で使える! Twitter 超入門」。Twitter というのは最近インターネットで流行っているコミュニケーションツール。実は私も最近使い始めたのですが、どんなものかというと、
- 個々のユーザが 140 文字までの「つぶやき」を入力すると、ネット上にそれが蓄積されていく。
- ある人のつぶやきを「フォロー」すると、自分のウィンドウにその人のつぶやきが表示されるようになる。
イメージ的には、 blog とチャットを足して 2 で割ったようなもの。気軽に公開情報をエントリしていけるという意味では blog に近く、知人同士で気軽におしゃべり会話ログを残していけるという意味ではチャットに近い。最近では、mixi にも似たような機能として「マイミクボイス」という機能が実装されましたが、Twitter はこれとはちょっと違う。チャットログがオープンになっており、承認を必要とせずに、自由に他人のつぶやきをフォローすることができるという点がポイント。特に US では iPhone などのモバイル端末から気軽につぶやきログを書きこんでいくスタイルが流行っており、
- blog に比べて、圧倒的に気軽に書き込みができる。
- SNS と違って、クローズドな重たい人間関係を引き込まずに済む。
という、ゆる~いコミュニケーションが可能なツールになっています。
で、実は最近、この Twitter をマーケティングツールとして使おうという動きがあって、私も興味を惹かれて使い始めてみたのですが、これがどう使えばいいのかよく分からない。それでこの本を読んでみたのですが、なるほどいろいろと腑に落ちるところが。なぜつぶやきログを収集する Twitter がマーケティングツールになるのか? この Twitter というのは、個人のつぶやきを大量に集めることで、究極的には限りなくリアルタイム性の高い情報ソースを作り出す仕組みを持っているのですね。
この本では、Web 2.0 以降のネットの潮流が二つあって、
- クラウドコンピューティング
- 超新鮮な Web
だというのですが、後者が Twitter の持つ特異性。Google は、インデックス付けをすることで、過去の情報蓄積資産が、現在の情報資産と競合する仕組みを作り出したのですが、Google の技術(検索エンジンのクロール)では、「現在の超新鮮な情報」をインデックス化することには限界があるのですね。しかし Twitter は、個人の細かいつぶやきを大量にデータとして収集し、リアルタイムに集計していくことで、つぶやきの集積からリアルタイムに価値あるデータや情報を生み出すための仕組みとして機能するのですね。
# イメージ的には、街中で友達とぶつぶつ「これ面白かったよねぇ」「美味しかったよねぇ」
# とおしゃべりしている内容が、大量にデータベースに蓄積されていくというもの。
# ひとつひとつのおしゃべりの内容はたわいがないように見えても、それが大量に集まると
# 統計的に意味のあるデータが精製されて出てくることになる。しかも内容が「つぶやき」で
# あるだけに、信憑性もそれなりに高くなる、というのもポイントになるのでしょうね。
Google のキーワード検索を席巻する可能性のある検索の仕組みとして、この本では、セマンティック検索(自然言語検索)とリアルタイム検索の 2 つを挙げており、前者として bing、後者として Twitter を挙げているのですが、なるほどこういう枠組みで解説されると納得できるものがありますね。もちろん、Twitter の仕組みが有効に働くものは、極めてリアルタイム性の高いもの、すなわち扇動性の高いもの(簡単にいえば祭りになりやすいもの)に限定されると思うのですが、メディアの一つとして押さえておきたいものではありますね。
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