先日、本屋さんで見つけて思わず手に取ってしまった一冊~。
ああっ女神様っ、などで有名な藤島康介氏による、漫画の「作り方」に関する解説書。さてどんなもんかなぁと思って読んでみたのですが、いやはやこれがびっくりするほど面白い。
書かれている内容は、漫画の描き方に関する枝葉末節の技術論ではない。どちらかというと、その中核にある物事の考え方などを綺麗に抽出したようなもので、扱われているトピックとしては、
- モチーフの見つけ方
- アイディアの作り方
- プロット、ストーリーの作り方
- ネームの作り方
といったところを、非常に平易な、誰でも分かる言葉で単刀直入に説明しています。中でも非常に面白かったのは、アイディアを、設定とプロットに分類する、という考え方。例えば女神様の第一話の場合、
- ベースは北欧神話である。(→ 設定)
- 三姉妹の女神がいる。(→ 設定)
- 女神は職業で免許制である。(→ 設定)
- 女神が願いをかなえるために人間界にやってくる。(→ プロット)
- 主人公の願いは「一緒にいてほしい」(→ プロット)
- 主人公は男子寮に住んでいるもてない大学生である。(→ 設定)
- 主人公の願いは叶うが寮を追い出されてしまう。(→ プロット)
- 願い事を強制実行する”強制力”というシステムがある。(→ 設定)
といった具合に分類し、これらをさらに起承転結に分割したり、どこでどういう説明をくわえていくのかを決めていく。おおお、なるほどこれは見事、という印象。
実際の作業はここまでシステマティックではないと思うのですが、実は重要なことは、こうした漠然・曖昧模糊とした作業手順の中核(コア)となる部分を、おおまかでもいいから掴んでおくことで、こうしたものをうまく掴んで説明することは、よほどの長年の現場経験を積んでいないとできないことなのですよね。いやはやさすが、という感じ。
漫画家志望の方でなくても、ヲタクであれば一読の価値はある一冊。さらさらと 1 時間ぐらいで読めてしまう本なので、興味がある方は手に取ってみてもよいかなと思います。
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