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キッド(THE KID)

というわけでたまには映画をまったり鑑賞~。

20090712b

っていうか随分前に知人から勧められて購入しておいたのですが、ようやく鑑賞。なにげに相当古くて 2000 年の映画なのですが、やっと時間が取れたのでおうちでまったり鑑賞してみたり。あー、なるほど確かにこれはなかなかいい作品だな、と^^。

主人公のラス・デューリッツは、40 歳を目前にした有能なイメージコンサルタント。飛行機であちこちを飛び回り、政財界の大型クライアントを相手に問題を次々と解決していく凄腕コンサルタントとして忙しい日々を送っていたのですが、ある日突然、彼の目の前に8歳の頃の自分(ラスティ)が現れる。当時の自分は、不器用で太った典型的ないじめられっ子で、成功者となった今の彼にとっては忘れ去りたい忌まわしき過去の日々の影。ところがラスティは、40 歳を目の前にした未来の自分を見て絶望し、彼にこう言い放つ。

「40 歳で独り者。
パイロットでもないし、犬も飼ってない。
それじゃ負け犬じゃないか。

ぐさぐさぐさっ;;、と来たのは秘密ですが(苦笑)、自分のコンプレックスを打ち破って成功を収めてきたはずだったのに、見事なまでに過去の自分に看破され、そこから自分を取り戻していく、という物語。ネタバレなので軽く反転で。

なるほど、この作品を私に薦めたのはそういうことかと、途中から非常に納得しながら見ていたのですが(とはいえ別に目新しい発見があったわけでもないのですが;)、オーソドックスながらも非常に綺麗なストーリーラインだなぁと感心。

主人公のラスは、凄腕ながらも極めて冷徹。その姿は「ゆとり」がまるでない。本当の友達はなく、家族とも疎遠。豪勢な家、広いリビング、豪華なベッドの中にたった一人で住まう彼の姿が、その孤独感を象徴している。彼女はいるけど、うまく思いやることはできない。見事なまでに「計算され尽くされた、無駄のない生活」には、不確定要素が全くないけれども、とてつもなく孤独。

社会的成功が人の目を曇らせて、本来、自分がやりたかったはずの夢、なりたかった自分を見失ってしまう。金もある、地位もある、女もいる、と、何一つ不自由していないと彼は思い込んでいるし、その思い込みは周囲の人では看破できない。けれども、それをあっさりと、過去の自分が看破してしまう、という構図が面白い。

「見ろよ。みっともない子だ。」
「そんなことない。かわいいわ。昔のあなたよ?」
「あんな子供だった僕を軽蔑するだろ?」
「いいえ。どうして? あなたは軽蔑するの?」
「いやな思い出がよみがえってくる。忘れようとしていた思い出が。」
「……かわいそう。」

ラスには、自分の努力で自分の苦手や弱さを克服してきたという自負がある。だからこそ、過去の自分の醜さに耐えられないし、それをうまく受け止められない。けれども、そんな彼やその過去を、彼女がやさしく包み込む。

「自己憐憫は…」
「ラス、私が憐れんでいるのは私じゃないのよ。
バカだったわ。つい思いこんだの。あなたが―――変わると。」

彼は過去を変えようとするけど、結局、過去は変わらなかった。けれども過去を受け入れ、いくつになっても夢を諦めないことで、未来を変えていくことができる。

「答えはゆっくり出せ。まだ何十年時間がある。」
「僕は負け犬じゃないぞ!」

あー、この構図はカレイドスターのレイラ・ハミルトン物語そっくりだ、という感じでこの終劇はニヤニヤしながら見てしまったのですが、実に見事。ヒネリも効いてて素晴らしかったです。

さすがに古いフィルムなのでテレビなどで見かける機会はまずないでしょうが、割と廉価な DVD でさくっと入手できるのがいいところ。映画館で見るのと大差ない値段で購入できてしまうので、便利な時代になったものですねぇ。


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コメント(1)

リアルに39歳で独り物でパイロットでも無く犬も飼ってないラスティです・・・。
ようやく鑑賞終わりました。凄いアクションとか効果とかがある訳でも無く、概ね予想して通りに展開していって、盛り上がる所とかも無いのですが、何かマッタリとした感じでハッピーエンドだし良かったですよぉ。
ちょっと、別に最初の状態でも充分幸せでは無いかなぁとか、犬を飼うことがそれ程重要なのかなぁとか思いましたが・・・。

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