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雷撃☆ SS ガール

うおおお、これは素晴らしい一冊。

P1010726

講談社 BOX ブランドで出版されている一冊、雷撃☆ SS ガール。少し前に Web 拍手で教えてくださった方がいて、せっかくなので読んでみたのですが、

これが実に素晴らしい。
いや内容が面白いだけじゃなくて、なかなかに素晴らしいじゃないですか^^。

「そうね。この人間社会、昔も今も、お金の大本が世界の頂点。
ほとんどの大衆は、お金を創るのは政府の造幣局だと誤解してる。
でも実際には、頂点に君臨する一握りの金融資本家がお金を創るのよ。
もし人類が後1000年文明を維持することができたなら、
後生の歴史教科書にはきっとこう記述されるはずだわ。
『産業革命以降300年に渡って人類は、貨幣システムを媒介にした
持続不可能な奴隷制度を採用していた』ってね」

この本、体裁こそライトノベルの形式を取っていますが、中身はれっきとしたビジネス書。特に昨今のお金がお金を生み出す金融ビジネスの歪みを見事に捉えていて、体裁のゆるさとは裏腹に、内容そのものは「へぇぇぇ」と頷きまくること請け合いの内容になっています。

「いいことジン? せいぜい渡したちに出来ることっていったら、
他の投資家を喰っているという事実を、肝に銘じておくことよ。
『自分が儲かったのは努力したからだー』みたいな短絡思考に陥らないことね。」

ストーリーラインは、人類史上最高の IQ を持つと言われるリンという少女(ヒロイン)が、零細ダイレクトメール企業を足掛かりにして世界征服をたくらむ、というもの。世界征服、といっても世界を支配することが目的ではなく、現在の歪な経済システムをいったん破壊し、300 年に渡って持続可能なシステムを再構築しようというもの。……なのですが、明かされていくその手法には舌を巻くこと請け合い。

いやはやこれはいったいなんなのだろう、と思ってあとがきを読んでみると、なるほど納得、この著者の方はもともと文筆業出身の方ではないのですね。どうりで文章が硬くてぎこちないと思ったのですが、本業は様々なビジネスを手がける会社の経営者。しかもこの作品に登場する数多のビジネスはこの著者自らが関わってきたものだそうで、なるほどどうりでリアリティがあるはずだなぁ、と思ってしまったり。

しかしなぜこの方はこんな本を書こうと思ったのか? 著者の至道流星さんはあとがきの中でこんなことを書かれています。

普段の仕事を通して、あまりに酷いモラルハザードを間近に見ることがたくさんありました。
本当に由々しき事態です。そんな中、「なんかもうこの世界、ダメだな……」という想いがつのり、
「ならばこの世界を変えるため、自分にできる最適で最短な方法は何だろう?」と模索すること一ヶ月…
どういうわけか、小説を書いてみることにしたのです!

あー、なるほどと納得。ビジネスの世界でたくさんの人と関わっていると、確かにモラルハザードと思しき事態というのはホントにたくさんある。特に、お金でお金を稼ぐ金融ビジネスは、一般投資家からお金を搾取する見事なシステムで、いわば現代版の「成金」を生み出しているような側面もある。最近、リーマンショックからの流れで崩壊しかけている経済を指して、子供たちの世代に誇れるモラルのある仕事をすべきだ、といった論調をテレビで放送しているのを見てちょっと驚きましたが、モラルのある仕事をする、というのは実際問題としてとても大切なこと、だと思うのですよね。

非常に読みやすい切り口で、わかりやすく「この世の経済の仕組み」を解き明かす本書のアプローチには舌を巻くことうけあい。大人も子供も楽しめる経済書という意味では、有名なビジネス書「ザ・ゴール」に近いものを感じました。非常に素晴らしい一冊なので、興味を持った方はぜひ一読してみてください。

# ちなみに読み終わった方にはこちらがおすすめ。原作者による解説があります。


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コメント(2)

どもです。
これはノーチェックでした。近いうちに読んでみます。
ではでは。

注文してみた。さてはてどうなるやら楽しみ。

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