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目線の合わせ方。

さてさて、先日、社内でミーティングをしていたときのこと。プレス発表に備えて、マーケティング担当の人が、技術者の視点からアイディア出しをしてくれないかという話になり、私と同僚の二人がミーティングに参加したのですが、なかなか話が噛み合わない;。その原因は、端的に言えば、「多少不正確なところが入っていてもメッセージを単純化することで、マーケットに自社をきちんと認知させて仕事を取りにいきたい」というマーケティングの思惑と、「多少複雑でも技術的に正しいメッセージを出したい」という技術者の信念の違いによるもの。

まあこれ自体は良くある話なのですが、困ってしまったのはこの後のこと。私はどちらの言い分もわかるものの、このケースではマーケティング視点で話を進める必要があると思って視点を切り替えたのですが、同席していた同僚は「それは正しくない」の一点張り。いや確かに不正確ではあるけれども、一方で別に技術的に見てウソを言っているわけではない。単純化されすぎているが故に不透明な部分を含んでしまっており、結果として、一部のお客さんの立場によっては怒り出すかもしれない内容にはなっている。けれども、メッセージとしては単純明快でわかりやすい。

さて、このケースではどちらの言い分が正しいのか?
私はこのケースだと、マーケティングの担当者の言い分の方が正しい、と思うのですよねぇ。

私も技術者なので、同席していた彼の言い分もよくわかるし、できることなら技術的に正確なメッセージを伝えたい、という思いはある。けれども、技術的な正確性を突き詰めると、メッセージとしてどうしても難しくなりすぎる。結果として、ビジネスサイドからは「小難しい」と理解されず無視されてしまうことにつながってしまう。問題なのは、こういう状況に陥ったとき、声のトーンを大きくしたり、さらにそれを理解してもらおうとして説明を重ねること、だと思うのですよね。私はそういうことはしちゃいけない、と思うのです。

それはなぜか? 理由は単純で、お客さんに理解する努力を求めてはいけない、と思うのです。

表現上、ちょっと誤解を招きそうなので捕捉をするのですが、もちろん、お客さん側にも当然、理解する努力責任はあるし、その責任を放棄すれば、ビジネスチャンスは減る。けれどもそれはお客さん側の問題であって、説明する側が、お客さんに理解を求めるスタンスは間違っている、と思うのですよね。

例えば、学校の先生が、理解の悪い生徒に対して「理解しない生徒が悪い」と言ったり、あるいはいくら説明しても理解してくれないお客さんに対して「お客さんの頭が悪い」と言ったりして、はたして問題は解決するのか? 往々にして、仕事の現場ではお客さんを罵るような行為がよく見られるのですが、そんなことをしても問題は解決しない。大切なことは、問題の解決をお客さんに求めるのではなく、自分自身の問題として捉えなおすこと、だと思うのですよね。

だから、今回のようなケースでは、たとえ単純化したとしても、お客さんにわかりやすいように、お客さんの言葉で、お客さんのレベルに合わせて解説する必要がある。もちろんそれは技術的に不正確であったり、お客さんの立場によっては怒り出す内容になるかもしれないけれども、それは next step の問題として先送りして、まず 60 点でいいから点数を取りに行く、ということが求められると思うのです。

往々にして、相手の目線やレベルに合わせて話すことは技術者にとっては苦痛なのですが(いや私もイヤだなぁと思うことは多々ありますが;)、けれどもそうしなければ物事を前に進められないこともある。よい商品だからといって必ずしも売れていないことがあるのは、そういう意味でマーケットの目線に合わせられていないからだと思うのですよね。

相手の責任にすることは簡単だし気分もいいものですが、自分の問題として捉え直さないと進まない話も結構ある。その場その場の「正当性」「正確性」を単純に追い求めるのではなく、「結果が正しくなるように」柔軟に対応することが必要なんじゃないかなぁ、と思った今日この頃、でした;。


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