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最適化と弱体化。

というわけで今日は先日のコメントから一つ~。

> はじめまして。数年前からこちらのブログを拝見させていただいています。職業
> 人ならではの硬派なエントリーが好きなんですが,最近全然無いですね。なんだか
> 主婦のブログみたい・・・。

すいません、思いっきり吹き出してしまいました;。い、いやまあ自分の話ではあるのですが^^、まあ確かに自分、主婦みたいなとこあるよなぁと苦笑^^。私の場合は「そういうものもかなり好きw」なのですが、その一方であんまり職業人っぽいエントリを書くのも説教くさくなりやすいので、なかなか書きづらかったりもするのですよねぇ;。とはいえ、まあたまにそんなエントリが書きたくなることもあるので、今日は真面目なエントリを一つ。

最近、とみに組織が弱体化してきていて、仕事がやりにくいなぁ……と感じることが多々あるのですが、不思議なのはみんな相当に頑張っているにもかかわらず、一向に状況が改善する気配がないということ;。仕事をどれだけやっても全くラクになる気配がなくて、むしろ自転車操業的に追い詰められている感がどんどん強くなっていっているのですが;、そもそもなんでこんなことになっているんだろう、と考え込んでしまったり。

物理的に仕事が多い……というのはまあわかるのですが、それ以上に気になるのが、各担当者のスキルレベルがまるで上がってこない、という点。別に派遣さんというわけではないし、それ相応に責任のある仕事を任されているのに、ぜんぜんスキルレベルが上がってこない……のですね;。磨けば光るであろう素質を持った人たちがこれだけ集まっているにもかかわらず、なんでこんなことになるのかなぁ、と悩んでしまったのですが、つらつら考えているうちに気付いたことが。これ、多分、仕事が最適化されているがゆえに組織が弱体化しちゃってるんだなぁ、ということ。

ここ数年、組織的な取り組みとして、マネージャ層の強化や、仕事のアサインの最適化に力が注がれてきて、それについては一定の成果を出しつつある。実際、大きなトラブルが発生することも以前に比べれば少なくなってきている。これだけ見ると「いいことじゃないか」と思ってしまうのですが、おそらくこれが大きな問題。最適化された仕事のアサインは、おそらくリスクの低い仕事のアサインだったり、効率的な仕事のアサインだったりすると思うのですが、たぶんそれが、結果的に OJT での育成のチャンスを減らしてしまっている、と思うのですね。

特に問題なのが、管理スキルセットやロールモデルの細分化。例えばスキルセットについて言うと、従来であれば、技術領域を A, B, C とおおまかに 3 つに分けて、各人の専門領域が A~C のどれか?という形で決めていたはずなのですが、組織がより大規模化して、より最適なアサインを心がけるようになってくると、この専門領域(スキルセット)の管理がより細分化してくる。例えば従来だと「A」とひとくくりにされていたものが、「A1, A2, A3, A4」といった具合により細かく分割され、細かい粒度で専門領域管理が行われるようになる。そして、なるべく同じ専門領域の仕事をたくさん与えることによって、効率的に仕事を回してもらおう……と考えるのですが、この仕事の与え方って、とどのつまり、昨今言われている派遣いじめの構図そのもの。つまり、「今できる仕事しか仕事を与えない」という考え方そのものなのですよ。

同様の話は、ロールモデルの細分化や最適化についても当てはまる。例えば、従来は、営業と専門職、の 2 つにしか分かれていなかったものを、営業とプロジェクトリーダとプロジェクトマネージャと専門職に分割する。こうすることで、各人の専門性を発揮して、より高度な仕事に取り組めるようにする……と、お題目だけ聞くと聞こえのいい文言を並べることはできるのですが、実際にはこんなことをやってしまうと、営業センスを全く持たない専門職が出来たり、技術のことを全く知らない営業が出てきてしまう。すると結果として、営業に行くときには常に専門職の人を連れていかなければならなくなり、どんどん仕事が大変になっていく。

ちょっとした営業活動なのに、3人も4人もぞろぞろと枚挙してお客さんのところに攻め込む構図は、大企業であればよくある構図ですが、こんなことやってたら仕事の効率が上がらなくても当然、なのですよね。

つまり端的に言えば、タスクの細分化とロールモデルの細分化が、結局のところ、個人のスキルセットの矮小化、そして組織全体の弱小化につながっていく。組織の力を最大に保つためには、結局、個々人のスキルセットを幅広く、かつ深く保つ必要があるのですが、そのためには、タスクやロールモデルについては細分化しすぎてはダメで、適度な粒度に保たなければならないのですよね。

もし組織のルールとしてロールモデルが細分化されてしまうのであれば、個人としては「ロールや割り当てられたタスクを越えた仕事」をしていくように心がける必要がある。そうしないと、結局のところ、正社員であったとしても、まるで派遣社員のような「使い捨て」がされることになってしまう、と思うのです。そういう仕事のアサイン、「最適化」のように見えるけど実態は「硬直化」そして「弱体化」に他ならない。なぜなら、仕事って、三遊間ゴロを積極的に拾うからこそスキルレベルが上がるようなところがあるからなのですよね。

以前は正社員、派遣社員というくくりでこの問題が捉えられていたような気がするのですが、昨今の状況を見ていると、組織や仕事のアサインをコントロールするマネージャ層が、リスクを避けるために「安全な仕事のやり方」を志向すると、この問題が出てくるのではないか?という気がしています。結局、戦い続けない限り、安定は得られない。ある程度のリスクを取って、自分の責任範囲を超えた仕事をするからこそ人は伸びるのであって、「今、出来る仕事を、今までどおりにやり続ける」だけではなかなか人は伸びないもの。貪欲に仕事に取り組んで、自分のスキルセットの幅や深さを広げていくことは、(仮に正社員であったしても)自分自身の身を守るためにとても重要、だと思ったりします。

……というか、お願いだからみんな「それはボクの仕事じゃない」とかいう顔しないでください、ってのが要するに言いたいことなんですけどねー。(と、微妙に愚痴ってみるテスト^^。ま、しょうがないんですけどねー;。)


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コメント(2)

裏を返せば、一通り何でもこなせるユーティリティプレイヤーってやはり貴重な存在なのですよね。「軍の組織はあって無きがごとしです。何でも出来る人が重宝がられているんですよ。」とは一年戦争時のマチルダさんの名言です。

人数が多いから(管理職が評価・管理しやすいように)細分化しちゃうんですよね。私の今の部署は人数が少ないので,一人何役もこなしつつ仲間のフォローも気にかけなきゃいけないので「それはボクの仕事じゃない」とか言ってられないです。
それにしても,リアクションが早いですね~。

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