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作り手の理屈。

ふう~、というわけで土曜日。今週は体調が微妙に悪くて、しかもなかなか治らずずるずると引っ張っているのですが、喉風邪はホントに尾を引くものですね。いやはや。

さてはて、ところで実にどーでもいい話なのですが、私が住んでいるマンションは、賃貸専用型の新築物件。今どき非常に珍しい、駅近大型新築物件だったりするのですが、実はなにげに幽霊マンション。なんか人気(ひとけ)がないなぁとずーっと思っていたのですが、あるときはたと気付いたのがインターホンのランプ。これ、当たり前なんですが、通電してないと点灯しないのですよね。つまり、人が住んでいなければ消灯しているわけで、気になって確認したら、今、自分が住んでいるフロアは 15 軒中 5 軒しか住んでいない。つまり、入居率でたったの 3 割強という、マンション運営としては超赤字物件だったりするのですよ;;。なるほどどうりで最近、このマンションの入り口に入居者募集中の立て看などが出来始めたわけですか、と納得してしまったり。

なんかこの話だけ聞くと、「おいおいその物件、大丈夫なのか?」と言いたくなるところなわけですが、こうなった理由はだいたい想像がついてしまう。それは、ぶっちゃけ物件の作りが顧客ニーズと合っていない。この一点に尽きます。このマンション、実はシングル向け物件が非常に多くて、だいたい全体の 8 割程度が 45m^2 以下のシングル向け物件。私が最初に物件全体のレイアウトを見たときに感じたのが、こんなに小さい部屋を雨後の筍のごとく作ってどーすんのよ? ということ。もともと大学が近いことや駅近物件であることもあって、シングル向けの物件を増やしているのでしょうが、例えば今の 1DK 物件を 2 つつなげて 60m^2 前後の 2LDK 物件にしたら、かなりイケてる物件になる、と感じたのですよね。(地型も悪くないので) ところが、ファミリー向けの 60m^2 前後の物件がこのマンション内にはほとんどなくて、全体の 2 割以下。しかも、その中で使い勝手のよいフロアレイアウトのものは 1 種類しかなくて、そこまで絞ると総戸数の 1 割以下しかない。

自分が物件を借りるのであればこのタイプの部屋しかあり得ない、ということでその物件を押さえたのですが、どうにも首をかしげてしまったのは、どうしてこんな細切れレイアウトの物件ばかり増やしたのか、という点。不動産屋さんとそんな話になったときに教えてもらったのですが、細切れにして物件の戸数を増やすのは、貸し手としてのリスクヘッジのためなんだとか。要するに、大きなファミリー向け物件を作ってしまうと、借り手がどうしても限定されてしまう。そうなると、入居者が退出した際に新しい借り手を探すのがなかなか大変になる。「卵をひとつのかごに盛らない」という原則よろしく、リスクヘッジのためには物件を小さく分けるのが賃貸マンションの常識なんだとか。

それを聞いたときに一瞬「ほー」と納得しかけたのですが、いやいやちょっとマテと思ってしまうワナ。その理屈は、物件の借り手となりうる人が比較的潤沢にいる場合にしか当てはまらない。この物件の場合、新築駅近という良条件が揃っており、1DK~1LDK 物件としては相当高い。このためそもそもこの物件を借りられる人自体がかなり限られてくるのですよ。2LDK 物件であれば、ファミリー層ということもあって借り手の層がかなり変わってくるのですが、1DK~1LDK 物件の場合、主な借り手は学生やサラリーマン、あるいは単身赴任者など。こうした人たちが果たしてこんな高い物件を借りるのか?と考えるとそんなわけはないはずで(周囲には安い一人暮らし物件がごろごろしている地域なので;)、フタを開けてみたら、予想通りガラガラ、というオチになっていたりするわけです。ありゃりゃ;。

端的に言えば、企画主導で頭でっかちに貸し手の論理で物事を考えるからこうなるんだろう、と思うのですが、そういう視点で見ると、フロアレイアウトなどいろんなところに貸し手の理論が見えてくる。例えば今の物件は、フロアの天井高が低い上に異様に梁(ハリ)が多いのですが、これはフロアの高さを押さえて階数を増やすのが目的。あるいはフロアレイアウト上、キッチンや流しが妙な位置にある部屋が多いのですが、これも隣の部屋のレイアウト図とくっつけてみれば一目瞭然で、水周りを一箇所に集中させるための施策。分譲物件だったら絶対にあり得ないレイアウトがいろんなところに見て取れるのですが、それは端的に言えば、企画主導で借り手の気持ちを考えていない、ということなのですよね。

さらに物事を悪くしているのが、この物件、銀行系の物件なので、借り手が付かなくても賃料を落とすことをしないらしいのですよ;。普通の民間企業なら、早い時点で見切りをつけて損切りをするものですが、そういった判断が今この状況になっても行われていない。そのうち入ってくれるんじゃ……と甘い気持ちを持っているのかもしれませんが、そもそも 4 月の入学・引越しシーズンを外した段階で負けが確定しているわけで、傷口がどんどん広がっているワナ;。

これだけひどい状況が見えると、こりゃ 2 年後に賃料上げてくるんじゃないかなぁ……と思ってしまうのですが、結局、ここまで酷い状況を作り出しているすべての原因は、何もかもが作り手・貸し手の理屈で動いているから、だと思うのですよ。借り手の気持ちになって考えれば見えてくる部分もあるのでしょうが、ソロバン勘定だけで作られた物件にはなかなか血が通わない。お客様の目線や視点で考える、という当たり前の発想と、ソロバン勘定のバランスを取ることがとても重要なのでしょうね。

……いやまあ、自分たち的には今のこの状況はある意味ラッキー、という見方も出来るんですけどねー(笑)。


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