さてさて、少し前にさんざん結婚式関係のエントリを上げまくってお腹いっぱい状態だとは思うのですが、今日はそこからスピンオフした同人誌制作のお話をひとつ。自分たちの結婚式では、配席表のかわりに同人誌を制作したのですが、同人誌制作もブランクが 10 年以上あると、昨今の同人誌制作の事情など全く分からなくなっていて結構驚かされることが多かった……のですが、その中でも特に驚いてしまったのが、オフセット印刷ならぬオンデマンド印刷というものの存在。
同人誌印刷に詳しくない方も多いと思いますので少し補足から入ると、我々がよく「オフセ本」と呼んでいるのは、「オフセット印刷本」のこと。その名の通り、オフセットと呼ばれる方式で印刷された本なのですが、このオフセット印刷には致命的な弱点がある。それは小部数印刷に向いていないこと。オフセット印刷とは、平版と呼ばれる原版を作り、そこにインクを載せて大量に印刷をかけていく方式なのですが、この原版を作るのにかなりのコストがかかるため、相当数の部数を刷らないと全く割に合わないものになってしまいます。(例:28 ペー ジ A5 本の場合、 50 部 → \15,540、100 部 → \18,300、200 部 → \24,890、500 部 → \44,420。) 1 冊あたりの単価が全体の印刷部数によってぜんぜん変わってしまうため、ざっくり言えば、少なくとも 200 部程度は印刷しないと極端に割高になってしまうのですよね。このため、小部数印刷をしたいケースには、オフセット印刷はあまり向いていない、という傾向があります。
# (注意) よくオフセット印刷と無線綴じを混同している方がいるのですが、オフセット印刷とは
# 印刷方法の名前。一方、背中がホチキス止めではなく綺麗にのりで綴じられているのは、
# 無線綴じと呼ばれます。無線綴じ=オフセット印刷というわけではないことに注意。
一方、オンデマンド印刷というのは、簡単に言えば、コピー機を使った同人誌制作のデラックス版みたいなもの。いわゆるコピー機を使ったコピー本というのは、普通はホチキス止めをされているものですが、これがきちんと背中で綴じられている(無線綴じされている)ものがこのオンデマンド印刷です。見た目はまるっきり従来の無線綴じオフセット本と同じように作れるのですが、基本的には「コピー」なので小部数からでも作れる、というのが大きな違い。
オンデマンド印刷のメリットとデメリットをまとめると……
- オンデマンド印刷のメリット
- 小部数印刷でもコストが安い。(例:28 ページ A5 本の場合、表紙フルカラーでも 50 部 → \9,600、100 部 → \18,700。さらに 10 部からでも印刷可能。) (もちろん、大部数ならオフセットの方が割安になります。)
- 納品までの期間が短い。最短で 1 週間程度。多少カスタマイズを入れても 2 週間程度。(オフセットと違って作業工数が少なく、インクを乾かす時間などもない) (もっとも、最近はオフセットでもかなり納期が短くなってます。)
- オンデマンド印刷のデメリット
- トナー印刷なので多少印刷がテカる。(コピーほどではないにしても)
- 用紙の色替えはできるが、インクの色替えはできない。
といったところ。ざっくり 100 部以下の印刷に適している印刷方式なのですが、今回ちょっと迷ってしまったのは、モノクロイラストそのものはオフセット印刷の方がきれいに出る、という点。さてどうしよう……と困った私が取った選択は試し刷り。
これまた私にとっては衝撃だったのですが、現在の同人誌業界には、なんと入稿した原稿を試し刷りしてもらうことができる会社が結構あるのですよ。もちろん有料のサービス(\1,000 前後)なのですが、印刷品質のみならず、データのトラブルなどもチェックできるので一石二鳥。今回は特に表紙が綺麗に出るかどうか(※ 特殊紙の上に印刷しているので、色のイメージが変わってしまう)、本文原稿の見やすさや印象としてどちらがよいか、というところを中心にチェックしました。結果としては、オフセット印刷の方が繊細な線の味が出る、という理由でオフセット印刷を選択。やっぱりすべてのイラストを描き下ろしていただくのに印刷方法を妥協しちゃいけないだろう、と^^。仕上がりも見てみましたが、非常に綺麗に出ていました。
というわけで印刷方式は決まったわけですが、まだまだいろいろありました……というわけで今度はデータ入稿の話を書きたいと思います;。
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