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凡庸であることの難しさ。

さてさて、今日は先日いただいた Web 拍手のコメントの内容からひとつ~。

> 結局この時代に生きるひとりの人間としての幸せを重視すると、身近な人との交流に帰結するということですかね。。。極めるほど凡庸になるというこですかね。

や、こちらのコメント、年末の大みそかエントリの話に頂いた Web 拍手なのですが、ちょっと反応したくなったのでつらつらと書いてみるテスト。や、実のところ、凡庸に生きることこそが真に大変で難しいことなんじゃないか、と私は思うのですよ。

近代的な文明が生まれて数千年、人は幸せを求めて止まずに生きてきたと思います。その間、科学技術は進歩するし文明も発展するし、この世の暮らしも昔に比べて驚くほど豊かにはなった……とは思います。けれども、それは人間そのものが生命体として進化したということではないのですよね。例えばこれは私の妹の受け売りですが、科学技術や医学が進歩した今となっては、30 歳を超えた出産は全く珍しくない。けれども、生物学的に見たらやっぱり 30 歳を超えた出産は高齢出産に違いないのですよね。同じように、人間の寿命は確かに延びたけれども、誰だって死ぬという基本原則の部分には未だ変わりはない。社会生活が豊かになったとしても、生命体としての根源の部分に関しては、昔とそれほど変わっていないというのが実態ではないか、と思うのです。

その一方で、私は幸い(?)にして割と大きな企業に勤めているおかげで、いわゆる「仕事の世界」における頂点に近いところも垣間見たりすることがあります。そんなときにふと思ってしまうのが、「自分は絶対にあの高みには到達できない」という現実と、「あの高みに到達したとして自分は幸せになれるのか」という冷静な自己分析。や、ともすればこれらは「やる気のない人間の逃げ」のようにも見えるでしょうが、そうした面を抜きにして、本音ベースで冷静にそう思ってしまう自分がいる、のですよね。

分かりにくければ、こんなシチュエーションを考えてみるとよいかもしれません。例えば、トレッキングで山登りをしたときに感じる清々しさは間違いなくある。けれども、ではエベレストの頂上に登り詰めたら果たして自分はどう思うだろうか、と。確かにエベレストに登頂すれば、登頂した人にしか味わえない『何か』を得られるのは間違いないでしょう。けれども、それは自分が目指すべき幸せのカタチなのか? という問題は、全く質の違う問いとして存在するわけです。

もちろん、もしかしたら今まで人類が見つけられなかった全く新しい『幸せのカタチ』が存在していて、すごい能力を持った人であればそれを発見することができるのかもしれません。けれども、正直言って自分ぐらいの能力でそんなものが見つけられるとはとても思えない。それができると思うのなら、それは人類の今までの集合知にタテをつくようなものではないかと;。や、さすがにそれは無理だと思うのですよ。

けれども、その一方で思うのは、今の時代、凡庸に生きることこそ本当は難しい、ということ。

凡庸に生きる……と書いた場合、どんな人生を想像します? ごく平凡に就職して、ごく平凡に恋愛して、ごく平凡に結婚して、ごく平凡に出産して、ごく平凡に会社勤めして、ごく平凡に子育てして、ごく平凡に老後を過ごす……こう書いてみればすぐに分かりますが、今の時代、どの一つ取っても恐ろしく難しいことばかり、ではないでしょうか? ましてやそれが幸せな就職、幸せな恋愛、幸せな結婚……などと修飾子がつけば、これはぞっとするほど大変なことだと思うのですよ。今の就職難なんかを見てみれば、もはやその入り口の段階で致命的に躓いているわけだし、結婚しない/できない若者が後を絶たない、なんてしょっちゅう言われる話。でもそれは、誰しもがそんな生活を望んでいるわけじゃなくて、今の時代、普通に生きてたら凡庸に生きることなんてできない、という話だと思うのですよ。

だからこそ、凡庸に生きたいと思うのであれば、並大抵ならぬ努力をしなくちゃいけないのではないかと思うのですよね。そして、努力で得られた力は、凡庸に幸せに生きるために注ぎ込む必要があるのではないか、と。私は、将来の夢が「歳を取ったときに、日本庭園の縁側で、奥さんと一緒にお茶をすすりながら『今日も平和だねぇ』とまったりすること」という人ですが(苦笑)、いやはやそんな余生を過ごすためにはどれだけの努力が必要なのか? 正直、今の努力ではとても無理なんじゃね??と思ってしまう部分があるのですよねぇ。

や、幸せのカタチなんて本質的なところは時代が変わってもそんなに大きくは変わらないはず。けれどもそれを掴むために必要なパワーや努力は、おそらく時代が変わればそれ相応に変わってくる。もちろん、今だけでなく昔の時代だって昔の時代なりの難しさと大変さがあったはずですが、今の時代、少なくともそれがラクになっているというわけではないはず。だからこそ、自分たちは頑張らなくちゃいけないんじゃないか……とまあ、そんなふうに思います。


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