自分はダメな人間だと思っていた。
自分に自信がなかった。
自分のことが嫌いだった。
けれどもそんな自分を、好いてくれる存在がいる。
そんな自分に、頑張れと言ってくれる存在がいる。
それは決して、そいつにとってメリットばかりがある訳でもないのに。
なんて、強いんだろう。
というわけで今日はこちらの話をひとつ~。
ファミ通文庫の作品、ココロコネクト。とりあえずシリーズ 2 冊目まで読破。順番がわかりにくいのですが;、ヒトランダムが 1 冊目、そしてキズランダムが 2 冊目。なんか夏のこたつさんがやたらとプッシュしているのでとりあえず購入してみた次第なのですが、
これは確かに名作。
ああ、なるほどこういう話はあるようでなかったなー、と。
作品設定は極めて古典的なもので、例えば 1 冊目はランダムに人格が他人と入れ替わってしまうというもの、そして 2 冊目はランダムに思ったことをそのままストレートに言ってしまうというもの。どちらもすでに手垢がつきまくったネタであるにもかかわらず、現代的な物語に仕上げている手腕はさすがとしか言いようが。内容的にどうしてもネタバレになるので、文字反転しておきたいと思います。
この作品、要するにディスコミュニケーション世代における、心の救済の物語、なのですね。登場人物である 5 人は、それぞれに悩みを抱え、でも表面上は仲良し 5 人組としてなんの問題もなく、サークル活動をしている。それはよくある日常的な光景……なのだけれども、結局のところ、近づくのは怖い、だけれども離れるのは寂しいからもっとイヤ、という微妙な距離感の関係。承認欲求はあるけれども、かといって近づく勇気もない。リスクを取ることができずに足踏みして、うだうだと泣き言のようなことをつらつらと考えてしまう。そうした無限ループを断ち切るためには、結局のところ、自分を認め、怖くても他人に飛び込んでいくしかない。
そんな「荒療治」をするのが、作品中の「ふうせんかずら」という存在。ふうせんかずらには、「心の種」という属名がありますが(種のカタチがハート)、彼は『超法規的な力』を使って、彼らの関係を無理矢理かき回す。それはどう見てもムチャクチャで、一見すると厄介ごとに他ならないわけだけれども、そうした『イベント』があって、初めて彼らは心をつなげていくことができる。1 巻目は、ありのままの自分の心を受け入れる物語。そして 2 巻目は、そうした本音の心を他人にぶつけて心をつなげていく物語。それは時として、自分や他人を傷つけることもあるけれども、そうした過程の中で自分を見つめ返して謙虚に考え、反省していくことで、初めて他者との心のつながりを得ていくことができる。そういう物語だからこそ、「ココロコネクト」という作品名がついているのですね。
物語自体は正直青臭いとしか言いようがないにもかかわらず、それでも清々しさを感じるのは、やはりこの作品が青春物語であることの証左、なのでしょう。読んでいるとなんだか心が若返ったような気がしますが(笑)、非常によい作品なのでぜひ興味がある方は読んでみてください。
どもです。
読みました!
めっっっちゃくちゃ、私好みでした。
良作紹介感謝です!
ありがとうございました!
ではでは。