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リンゴが教えてくれたこと

というわけで今日はこちらのインプレをひとつ。

20090520c

えと、日経プレミアシリーズから最近発売された、「リンゴが教えてくれたこと」。奇跡のリンゴで有名な、青森の木村氏の書き下ろしによる一冊。以前、こちらのエントリで紹介したのはノンフィクション作家である石川氏がインタビューを重ねて一冊のドキュメンタリー本に仕立てたものですが、今回のこちらの本は、木村氏本人によって書き下ろされた一冊。

さすがに作家さんが書いたものではないため、物語的に読みやすいかというとそうではないのですが、ご本人が自分の言葉で語っている分、魂がこもった言葉になっているのが良いところ。特に、天啓とも言える土の違いに気づいた瞬間の話などは、つたない言葉であるがゆえにむしろ伝わってくるものがあるように思えます。

個人的に印象に残ったのは以下の 2 節。

「自然はものを言わないから、こっちがそれをとらえる感性を磨いていかないと」。会って話せばお互いの共通点に驚きます。齋藤さんがこう言ってくれました。「木村さんと話したって何を言わんとするか、お互いに分かっているわけなんですよ。全体を見ている。放っておけばどう変化しているかを見る。そこに余計な技術を使わないで、ずっと見ているってことが大事なんですよ。それがみんな、高学歴になるとじつとしておれない。その辛抱強さ、耐えられる人が今いないんですよ。」(p.154)

自然栽培には手間暇がかかります。でも自分の子供をほったらかして育てられますか。育てるというのは手間暇がかかることなのです。お父さん、お母さんからの愛情が必要です。でもそれは当たり前です。「手間暇惜しむものにいいものなし」。昔からそう言われます。(p.193)

あたたた、耳が痛い話で;。自分は手間暇をかけなければならないものが苦手な人間なので、かなり耳が痛い;。なんかこういうのを聞いていると、プランターでもやってみるのがいいのかなという気もしてきます....実際には相当ハードル高いのですが;。

ちょっと残念だったのは、なぜ木村氏がここまでリンゴの無農薬栽培にこだわったり取りつかれてしまったのか、という本質的な部分が、わかるようで今一つわからなかったこと。もちろん、取り憑かれるというのはもともとそういうものだし、だからこそその先に道は開けるものなのですが、そこの葛藤というか「突きぬける」ところについてももっと知りたかった、というのが本音なところ。

しかしやはりこうしてこの本を一冊読んでみると、いかに木村氏が博識であるのか、ということに驚かされます。奇跡は積み上げた努力があってこそ成し得たもの。努力していない人間には奇跡は訪れない、ということを改めて感じさせてくれる一冊でした。「奇跡のリンゴ」の本を読まれた方には、副読本的にぜひおすすめしたい一冊です。


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