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メインストーリーを終えてみて。

というわけで先日なんとか無事にメインストーリーをコンプしましたが、いや~、なかなか満足した部分もあるものの、なんというか結構いろいろと言いたいことはありまくりな感じもありました。なので、別エントリとしてちょっとまとめておきたいと思います。

■ 普通の利益率では許されないオンラインゲームの恐ろしさ

もともとこのゲームは「ハートフルオンライン RPG」というコンセプトを掲げていました。Wikipedia にもありますが、原点は「時間のない方も、女性も、いろんな人を受け入れる幅の広い王道のゲームを作ろう」というもので、世界を形づくるものは「女性や子供が親しみやすい」「柔らかい雰囲気」「絵本のような可愛らしい世界観」を心がけて作られていたそうです。実際、プレイ当初はあの柔らかい空気感に魅せられたものですが、いろいろな経緯を経て、ゲーム自体もずいぶんと様変わりしていくことになりました。

中でもいくつか大きな転機があったと思うのですが、振り返ってみると特に大きかったのは以下の 2 つでしょうか。

  • 2009年5月28日 - アップデート・イリス。基本プレイ料を無料化、アイテム課金化へ移行。ベースLvを上限99→110へ拡張。「イリスカードシステム」実装
  • 2014年7月24日 - 大型アップデート「パートナー」実装。チュートリアル完全リニューアル。ペットシステムに代わり、新しくパートナーシステムを導入。

実際に ECO の収益の内訳が公開されているわけではないので憶測の域を出ないところではあるのですが、普通に考えると、

  • 安定した収益基盤である基本課金を捨てても基本無料化に走ったのは、ユーザー母数を増やすことでアイテム課金の収益をもっと伸ばす必要があったから。
  • パートナーシステムを導入したのは、ハイクォリティなマスコットキャラを作ることで、重課金ユーザーをさらに増やす必要があったから。

と考えるのが妥当でしょう。ここから読み取れることはおそらく一つで、ガンホーのようなオンラインゲームメーカーの場合、黒字化だけではダメ(普通の収益率では許されない)、ということなのだと思うのですよね。

実際、オンラインゲームはハイリスク・ハイリターンで、ガンホーもたまたまパズドラが当たったからよかったようなものの、他のタイトルは鳴かず飛ばず。逆に言えば、稼げるところからは徹底的に稼がなければならないわけで、利益を出していないシステムは当然クローズされるし、利益を出しているタイトルであっても中途半端な利益ではおそらく許されない。なぜなら、代替の利かない貴重な開発リソースをそのタイトルに一定量割かなければならないから。(=ECO が中途半端な利益しか出していないのなら、さっさとクローズして、その開発リソースをパズドラなどの開発に回した方がよい、という判断)

おそらく ECO の場合、仮に赤字でなかったとしても、期待されるほどのリターンが出ておらず、あの手この手で利益率改善を模索したけれどもついに限界にきた、ということなのではないかという気がします。

■ 絞り尽くした先に待つもの

サービス終了の公式アナウンスで、こんなコメントがありました

> しかしながら、今後も永続的に皆様に満足していただくサービスクオリティーを維持した運営を行っていくことが
> 難しくなってきており、私どもとしては皆様に存分にお楽しみいただける状態のまま幕を閉じることが、
> エミル・クロニクル・オンラインのエンディングにふさわしいとの判断に至りました。

このコメントを額面通りに受け取るのもどうかとは思いますが、とはいえ運営チームにとっても(我々プレイヤー以上に)想い出と愛情の詰まった世界であることは間違いなく、そんな最中で「(世界感を捻じ曲げてもよいから)さらに絞り尽くせ」という上からの命令と、「世界をたたみたくない」という想いとの間で葛藤があったであろうことは想像に難くありません。

実際、ここ数年足が遠のいていた ECO のメインストーリーをプレイしてみて思ったことは、いつからこのゲームはペット育成中心のソロゲームになってしまっていたのか、ということでした。昔はプレイヤー同士が手助けし合うことでゲームを遥かに有利に進めることができたのですが、今はパートナー(ペット)が助けてくれるシステムへと変更されており、ソロでも十二分にプレイできてしまうゲームになってしまっている。重課金ユーザーがかわいいペットをお迎えし、育成しまくってパートナーと共に冒険する。そして重課金ユーザーは余ったアイテムを売りまくってゴールドを稼ぎ、結果として貧富の格差は埋めがたいほど大きくなっていく。

課金ユーザーが優遇されるのは当たり前のことですが、それでも初期の課金はゲームプレイの効率化に重点が置かれており、無課金ユーザーとの格差もそれほど大きくはなかった。結果としてコミュニティの規模もそれなりに維持できていたように思うのですが、格差が広がれば敷居もどんどん高くなり、世界としての過疎化が進んでいく。そしてある程度かわいいペットを入手してしまうと概ね満足して、ユーザーがどんどん離れていく。

今回、サービス終了が決まった後でいくつかの地をふらふらと訪れてみたのですが、ここまで過疎っているのかとショックを受けるほどに人がいない。昔の定額課金の時代を知るユーザーからすると、システムにしてもプレイヤー数にしても、ここまで様変わりしてしまったのかと驚いてしまう世界がそこにはありました。正直、これ以上世界を壊していく前に、きれいな世界のまま壊してくれた方が……と一瞬思ったのも確かです。

■ 世界をたたむことの重さ

そしてもう一つ、ECO がクローズせざるを得なかったもう一つは、おそらくシステム運用としての損益分岐点が比較的高い(=システムの運営コストが一定以上下げられない)ことにあったのでは、という気がしています。

ECO の場合、システム上、マップ上にプレイヤー(ユーザー)が一人もいなかったとしても、モンスターが跋扈する世界を動かし続ける必要がある形になっています。1 つのマップ上には数百体からのモンスターが動いている=何もしていなくても数百人のユーザーが遊んでいるのと同じリソースを食い続ける。ユーザーが増えた場合はインスタンスダンジョンで負荷分散できますが、ユーザーが減ったときに対する対策はおそらく打たれておらず(まあそりゃそうですよね;)、唯一の解決策はワールド統合ぐらいしかない。

この「サーバー側のリソースをユーザー数に合わせて適宜伸縮できない(特に減らす方向に縮められない)」という点は、おそらく多くの MMORPG に共通する特徴なのですが、これが結局のところ、オフライン化や(アップデートをせずに)そのまま最低限の運営を続けるといった方策が取れないことへと繋がっているのではないかと思います。

……まあ実際にはインフラコストだけではなく運用系のコストが結構かかっているはずなので、話はそう単純ではないのでしょうけれども、ただここでやはり改めて感じるのは、MMORPG の世界をたたむということは、本当に(気持ち的に)厳しい・苦しい、ということ。

オンラインゲームを立ち上げるときに、たたむことを想定している人なんて誰もいないでしょうが、オンラインゲームをクローズするということは世界を潰すということであり、それはその中に住んでいる人々、そしてプレイヤーを殺すことにも等しい。経営者から経営視点で見ればたかがゲームの戯言に過ぎない話でしょうが、プレイヤーや開発者にとってはこの心理的重圧は生半可なものではないわけで、いつか来るであろう別れの日をどう迎え、どう心に折り合いをつけるのかは、プレイヤーも開発者も日々考えておかなければならないことなのでしょうね。(特に重課金ユーザーやヘビーゲーマーであればあるほど。)

■ 一応の完成を見たメインストーリー

とまあここまで厳しい話をつらつらと書いてきたのですが、その一方で私として ECO 開発陣営の方々(そしてガンホー)を称賛したいのは、なんだかんだいいながらもメインストーリーをきちんと最後まで実装しきったこと、そして物語に一応の決着をつけたこと、でしょう。

もともと ECO は MMORPG の体裁をとりながらもバックボーンとしてのストーリーを持っていて、メインストーリーという単発ゲームとしての筋書きをきちんと持ったゲームでした(今でこそ珍しくないですが、当時としては割と珍しかったように思います)。オープン当時から基本的な世界観や設定は一通り揃っていたとは思うものの、10 年以上にわたる開発できちんとサービス終了に併せてメインストーリーを作り切るというのは非常に難しかったことではないかと思うのです。(一般的な会社だと、不採算事業は即刻切る、なんていうのも珍しくないので。)

今回メインストーリーを全部プレイしてみて思ったのは、おそらく 2014 年にチュートリアルを完全リニューアルした頃にはすでに大まかなラストまでのストーリーラインを決めてあり、上層部からいつサービスが切られる形になったとしても動けるように、相当入念な準備をしていたのではないか? ということでした。本格的に打ち切りが決まったのは、2016年6月23日のエクストラアップデートのときなのでしょうけれども、そこからメインストーリーのエンディングまでの実装とサービスクローズに向けた流れは、個人的には拍手を送りたいところです。

# いつかどこかで、実際どんな感じだったのかは時効になった頃にでも ECO よもやま話として聞きたいものですね^^。

ちなみにストーリーについてはここではあれこれ書きませんが(いろいろまとめサイトもあるので)、個人的な感想としてはよくここまで作り切ったな、と感心しました。「想いの力」が出てきたあたりからちょっと安っぽくなってきたなー、という印象はありましたが、とはいえ 3 つの世界の成り立ちや経緯などをうまく使い切ったストーリーラインになっていたのはお見事でした。(タイタニア界とドミニオン界の実装が終わらなかったのは残念ではありますが、まあ仕方ないでしょう。)

■ 最後に。

思えば軽い気持ちで ECO に手を出したのが 2006 年、それから(途中離れていた期間もありましたが)11 年間に渡って続けていたゲームがなくなるのは、やはり寂しさを感じずにはいられません。プライベートでも結婚したり子供ができたりと動きはあるものの、冷静に考えたら嫁より付き合いが長いゲームなわけで(汗)、これだけ長く遊んだゲームは前にも後にもないだろう、と思います。

変わらないものなんて何もない、と頭でわかっていても、サービス終了はやはりつらいもの。せめて残り 1 週間強は、想い出作りに SS 撮影に励むことにしたいと思います。(ぇ


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コメント(1)

久しぶりの更新でハワイ旅行記とは、意表を突かれましたよ。


え?お子さんがまだ小さいのに???と思ってたら、
>子連れの旅行って、めっっちゃ大変ですね;;。
既に書かれてました。やっぱりそうですよねぇ。


>ハワイのお話をぼちぼち書いていこうかと思います^^。
楽しみにしております。星空とか綺麗なのかなー。


ただ、前回の更新の後、次の更新はほぼ100%!
ECOの思い出を振り返る系だと思ってましたよー。うむむ。

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