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オズの魔法使 & オズ はじまりの戦い

ええっと、先日の話ですが、こちらを鑑賞してきました~。

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ええっと、ディズニー 3D 映画の最新作、オズ はじまりの戦い。オズの魔法使いの二次創作映画で、ドロシーが活躍する作品「オズの魔法使い」の前作に相当する作品を描いたもの。奥さんがどーしても見たい、とずーっと言っていたので、封切り直後の土曜日に、奥さん & お母さんと一緒にふらっと見てきた次第だったりします。でもって、感想をひとこと。

おおお、これはめちゃめちゃよくできている。
ってかかなり面白いじゃないですか^^。

とはいえ、楽しめたのは実は予習のおかげ。前日の深夜に眠いまなこをこすりながら、オリジナル作品にあたるオズの魔法使いの映画の方を見て行ったのですが、こちらも地味にとんでもない名作で、いやはやどちらもかなり面白かったです。なのでこのエントリでは、両方の作品を軽くご紹介したり~。

[オズの魔法使] (← 送り仮名がないのが正式名称らしい)

1939 年に公開された、ミュージカル映画作品。1900 年に出版された原作「オズの魔法使い」を映画化した作品なのですが、実はこれがかなりの名作。後から調べたところ、米国映画協会の選定する「歴代名画ベスト 100」で第 6 位、「歴代名ミュージカル映画ベスト 100」では第 3 位、さらに作中で歌われた主題歌「虹の彼方に」は「アメリカ映画主題歌ベスト 100」のトップ。主題歌は、タイトルに心当たりがなくても聞いてみればすぐにわかるでしょう。

大まかなストーリーはざっとこんな感じ。エムおばさん、ヘンリーおじさんとともにカンザスの農場に住むドロシーは、ある日、トルネードに巻き込まれてしまって愛犬のトトや自分の家とともに魔法の国オズへと飛ばされてしまう。家へ帰る術を失ってしまったドロシーは、そこで出会った北の良い魔女グリンダから助言をもらう。「黄色いレンガの道を通ってエメラルド・シティに行き、偉大なるオズの魔法使いに会えばカンザスに戻してもらえる」と。旅の途中で、知恵のないカカシ、心のないブリキ男、勇気のないライオンたちと出会い、そして一緒にエメラルド・シティを目指す、という物語。ちなみに作品のオチは(※ 一応ネタバレなので反転、見るつもりがあるのなら読まないことを推奨)、オズの国を治める魔法使いオズは実は魔法使いなどではなくただの人間。その昔、熱気球に乗っていたときに竜巻に巻き込まれ、ドロシーと同じようにこの世界に飛ばされてきており、機械装置を使ってみんなを騙していた。けれども彼は、カカシとブリキ男、ライオンたちを言葉巧みに安心させ、そして勲章など小さなプレゼントを与え、彼らの持つ力をうまく引き出す。そしてドロシーをカンザスに戻すために、彼は修理した熱気球で一緒にカンザスに戻って行く……というのがおおまかなストーリー。

作品の方は 70 年も前に作られたとは思えないほどの素晴らしい出来栄えで、CG などもない特撮だけであれだけの映像を作り上げたというのが信じられません。モノクロ映画が一気にフルカラーに転じていくところなど、演出効果も見どころ満載なのですが、なにより素晴らしいのが作品のテンポの良さ、そして演者の名演技。ジュディ・ガーランド演じるドロシーも見事ですが、知恵のないカカシ、心のないブリキ男、勇気のないライオンの 3 人もこれまた見事な演技。ミュージカル仕立てなので子供向けのような作りではあるのですが、ファンタジー作品として大人でも十二分に楽しめる作りになっていました。

[オズ はじまりの戦い]

そしてディズニーが作成したこちらの作品は、「オズの魔法使」でドロシーが願いをかなえてもらうために会った、「偉大なるオズの魔法使い」に関するストーリー。彼がこの世界にやってきた経緯、そしてこの世界でどのように偉大なる魔法使いになっていったのか、ということを描いた二次創作作品になっている……のですが、いやはやこれがかなりよくできているのですよ。

まず上手いのが、主人公であるマジシャン、オスカー・ディグスのキャラ造形。しがない小さなサーカス団で働くペテン魔術師である彼は、普段から矮小な自分を騙すために、事あるたびに大きなことばかり語るようなつまらない男。彼は、彼のマジックを奇跡と信じた少女の願い、「自分の足を直して歩けるようにしてほしい」という願いを叶えてあげることができず、適当な言い訳を重ねて逃げ出す。そういう嘘とペテンにまみれた人生を送ってきた彼は、気球に乗っていたときに竜巻に巻き込まれ、オズの世界へと飛ばされる。

飛ばされた先のオズの世界は、一人の国王と 3 人の美女の魔法使いが治める国。ところがその国王は、娘の陰謀で暗殺されていた。普段、オズというニックネームで呼ばれていたオスカーだが、「オズという名前の魔法使いが世界を救う」という言い伝えに沿って現れたとして、3 人の魔法使いが彼を奪い合う。オスカーは自身のマジックで人々を騙し、3 人の美女たちもペテンにかけていくが、真実が明らかになっていくことで物語が進んでいく……とまあそんな展開。

要するにこの物語、矮小な自分を隠すために嘘を重ね続けてきたペテン奇術師であるオスカーが、オズの国の人たちと触れ合っていくことで変わっていき、そして彼の奇術やウソを、自分のためではなく人々を助けて人々の力を引き出すために使うようになっていく、という話なのですが、そのストーリーのつなぎ方や展開がとても上手いのすよ。仔細はネタバレになるため書きませんが、ちょっとずつ変わっていく彼の性格や行動の描写が見事で、思わず見入ってしまったり。

そしてやはりよくできているなぁ、と思うのは、偉大なる原作をうまくオマージュしているところ。現実世界との対比はオリジナルのオズの魔法使いでもありましたが、同様に、現実世界で振った恋人は美女の魔法使いに、傷つけてばかりの親友はお供のサルに、そして足を治してあげられなかった少女は陶器の少女に。「偉大なる魔法使いオズ」も、原作ではペテンであると同時に、人々に希望を与える「良いウソ」として描かれているのですが、この辺の設定の活かし方も非常に上手い。「あなたが騙したのは、あなた自身だけ」というセリフが心に染み入りました。

[総評]

と、作品自体は気軽に楽しめる見事なエンターテイメント作品として仕上がっていて感心するのですが、その一方で、この作品っていったい誰が見るのだろうか、という点。実は封切直後の土曜日の夕方という好条件だったのにもかかわらず、お客さんの入りは 1~2 割程度。CM なども結構張っているディズニー作品でここまで入りが悪いというのには正直びっくりなりですが、その一方で、作品としての立ち位置が微妙なのだろうなぁとも思うのですよね。欧米と違って、オズの魔法使いが絶大な人気を博しているわけでもないだろうし、3D 映像で大人向けの雰囲気を漂わせている一方、童話が原作というところで一般人はちょっと引き気味だろうし……と考えると、確かに客層の幅は狭そうな気も。実際にこんなに閑古鳥が鳴いていると、これは一瞬で打ち切られるだろうなぁと思ってしまったり。なまじ作品の出来は良いだけにちょっともったいない気もします。

というわけで、興味のある方は今のうちに見に行った方がよい気がしますが(ぉ;、もし見に行くのであれば、1939 年のミュージカル映画作品を直前に見てから行くことをお勧めします。両作品合わせてみることで、結構楽しめるんじゃないかなーと思います。

# でもこれは続編は作られないでしょうねぇ。原作で北の魔女であるグリンダが南の魔女の設定に
# なっているあたり、おそらく次回作に向けた伏線なんでしょうけれど、ちょっともったいないですねー。


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