さてさて、長崎行ってどこに行くかなぁと迷っていたのですが、同僚から推薦されたのが軍艦島。正式名称は端島(はしま)なのですが、見た目がまるで戦艦のようなので軍艦島と呼ばれているとのこと。こんな感じです。

って、おおお、確かに^^。長崎港から南西に 17.5km 程度の位置にあるこの島は、1800 年代後半から 1974 年に至るまで炭鉱で栄えた場所で、日本の高度成長の一端を支えた島でもあるとのこと。長さ 480m、幅 180m 程度の小さな島(正確にはかなりの部分が埋立地)で、外周部をぐるりと回ってもたったの 1.2km。そんな小さな島に、最盛期は 5,000 人を超える人間が居住しており、その人口密度は当時世界一。83,600 人/km^2 という数字は当時の東京の 9 倍以上、現在の世界一の人口密度の都市と言われるモルディブの首都の倍以上の数字があります。
軍艦島は 1974 年に廃棄されて以来、上陸許可のない無人島でしたが、2009 年からごく一部に見学路が設置され、上陸・見学ができるようになったとのこと。これに伴って 4 社程度がツアーを組んでいるのですが、ツアー会社によって時間帯が異なる様子。9 時出発 12 時帰還という便利な時間設定のやまさ海運というところのツアーをチョイスして行ってみました。


片道約 40 分程度の船の旅で、上陸できるのは島の南側のごくごく一部のみ。結構いろんなところが見られるのかな?と期待していたら拍子抜けだったのですが、いやまあそれもそのはず。ここ、地震があったら間違いなく倒壊するような危険な場所なのですよ;;。


ガイドさんの話によると、1974 年に廃棄された後は完全な無人島で、台風や波風に晒されてこんな感じになっていったとの話。台風の通り道でもあるので、台風が来ると実際とんでもないことになるらしく、防波堤を超えて軽々と波が襲ってくる。炭坑マンはここから縦に 600m ほどの地下に潜り、そこからさらに南北に坑道を掘って行って石炭を産出していたとか。その距離、実に 2km 以上。島のサイズとは裏腹に、その地下には巨大な炭坑路が存在するわけなのですが、気温 30 度、湿度 90% という過酷な環境での肉体労働。
一方、居住区はと言えば、当時としては珍しい(というよりも日本初もここなのですが)鉄筋コンクリートのマンションが多数立ち並び、6 畳一間の小さな部屋に家族が身を寄せ合う。(ツアーでは触れられていませんでしたが、調べてみると初期には強制連行も多くあった様子) 過酷で危険な労働に対して、家賃や電気料金などの公共料金はタダ(途中から有料化されたらしい)だったそうで、小中学校や店舗、病院、寺院、映画館やパチンコ、スナックなどもあり、高度成長期にはテレビもかなりの率で普及していたとか。ところがエネルギー革命で、主力燃料が石炭から石油で移行したこと、加えて長年の採掘により採掘効率が落ちていた(深いところからしか石炭が取れなくなった)ことから一転して閉山。そして現在に至っているとのこと。
島の東側には、採掘した石炭を積みだすための港が用意され、逆に西側には居住区となるマンションが立ち並んでいるのですが、これは波風から石炭を守って、石炭を安全に運びだすためのもの。今では考えられないような時代の様子がいろいろなところから見て取れます。

(↑ 東側から見た軍艦島。真ん中あたりに、石炭を積みだすための港がある。)

(↑ 西側から見た軍艦島。多数の鉄筋コンクリのマンションが立ち並び、防波堤がわりになっている。)
現在では近代化の産業遺産として注目されるようになり、近年では 007 スカイフォールという作品のロケにも使われたとのことでしたが、廃墟と瓦礫の山を前に、歴史の重みを感じずにはいられませんでした。軽い気持ちで見に行きましたが、いやはや相当に見応えのある場所でしたよ、ええ。
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