先日の話ですが、撮り溜めてあった映画類やらなにやらをぼちぼち消化。その中に、少し前に TV ロードショーで放映されたかぐや姫の物語が。会社の同僚が、昨年の映画の中で頭一つ抜けている作品だと推していたこともあって見てみたのですが……
うーん、なんですかこれは;。
泣けるという同僚がいたので見たけど、どうしてこれで泣ける;;。
ストーリーラインを振り返ってみると、ざっくりこんな感じ。
- 純潔で清浄な月の世界では、人間界における感情や欲望は罪とされる。
- かぐや姫は人間界に興味を持つという罪を犯し、月から地球に降ろされる。
- かぐや姫は罪人なので、幸せになることを許されない。翁に財宝が与えられたことで何かが狂い始め、田舎から都会に引きずり出され、権力の塊のような男性陣に翻弄される。
- 挙句の果てに本当に大切なものが何かわかったときに記憶を奪われ月に回収される。
薄っぺらい感情のない世界である月世界との対比により、人間の持つ感情の多彩さとそのかけがえのなさを描出する。本当の幸せは、シンプルに心赴くままに生きるところにある、というのがかぐや姫の至った結論なわけで、つまり作品テーマは人間賛歌、ということなのでしょう(たぶん)。
けれどもその一方で、この作品における人間の描かれ方の薄っぺらさがどうにもひっかかってしまうんですよね;。
- 権力は悪、都会は悪、男性は悪、というステレオタイプな設定。
- かぐや姫視点で見ると、環境が悪いのであって自分が悪いのではないとも読み取れるストーリーライン。
- 最後は心赴くままに生きたいと願う、という現代受けしそうなテーマ設定。
人物描写にしろ舞台設定にしろ、ステレオタイプなところばかりが目に付き、愛憎入り混じるようなカオスさがほとんど見られず、非常にシンプルに作られてしまっている。それは確かに竹取物語という原作の筋書に沿っているが故のものかもしれませんが、それにしたって薄すぎやしないか? と思ってしまうのです。
技巧的には確かに見るべきところは多く、竹取物語をうまく再解釈して現代的ストーリーに仕上げたことや、あの絵を動かした技術力などは凄いの一言に尽きます。ただ、それはストーリーが面白いのかどうか、あるいは深みがあるのかどうかとは別の話。よくできてはいるのですが、ちょっと自分とは合わなかったなーと思ったりしました。うむむ。高畑監督の作品とは相性悪いのかもしれませんねぇ自分;。
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