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五等分の花嫁 : ストーリー解説 Part 5. 学園祭後~卒業・結婚式

※ 五等分の花嫁のネタバレ全開です。まだ作品をすべて見終わっていない場合には、読まないことを激しくオススメします。

赤字はストーリーライン上非常に重要なセリフ、青字は筆者の個人的な考察・補足説明です。全体インデックスはこちら

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[学園祭後~旭高校 3 年 3 学期](2018/10/16~2019/03)

  • 学園祭直後
    • 学園祭翌日(学校は休み)~翌々日
      • 一花、二乃、三玖、四葉が外出(#14-115)。五月は家に残って勉強。
        • この日、海岸で四葉と会うまでの三玖の動きははっきりと示されていないが、いくつかヒントになる情報がある。
          • 一花が家に戻ってきた時点で、三玖が家にいない(#4-115)。
          • 離れた駅の海岸にいる四葉に、四葉に扮して会いに行っている(#4-115)。
          • 一花に電話して、四葉と一緒に徹カラすることを伝えるが、その際、一花から何らかの驚きの情報が伝えられると共に、心配されている(#4-116)。
        • これらを総合して考えると、おそらく以下のような動き。
          • ① 学園祭翌日は朝一番から外出。おそらく自分の気持ちに整理がついておらず、四葉たち姉妹と家にいると気まずいため。(この時点ではまだ四葉に会おうとしていないと思われる。)
          • ② 一花が自宅に帰宅、五月に二人が付き合っていないことを伝えたのち、電話かメールで、三玖に対してもそのことを伝える。三玖はその情報から、四葉が他の姉妹に遠慮して告白を受け入れていないと想像。四葉に会って話すことを決め、四葉を海岸に呼び出す。
          • ③ この間に、二乃が帰宅。一花や五月に事情を話す。
          • ④ 三玖が四葉に扮して、海岸で思い悩む四葉に会う。風が強くなって帰宅できなくなり、徹カラすることに。そのことを一花に電話で連絡。
      • 一花が四葉に断りを入れたうえで、フータローを呼び出してデート(#14-115)。
        • 一花、風太郎と四葉がまだ付き合っていないことを知って邪念がよぎるが、思いとどまって二人を応援することに。
          • 「フータロー君と出かけるってちゃんと四葉には連絡入れてるからさ。」というセリフはおそらく嘘(目の描き方とセリフのフォントから)。二人の関係を探るためにフータローを呼び出したものと思われるが、最後には二乃の言葉を思い出して踏み止まることに。
        • 一花、風太郎がまだ好きだと伝えていないことを知り、「自分の中の最大限の恋愛表現をそのまま伝えればいいんだよ」とアドバイス(#14-115)。
          • このアドバイスが、最後の「結婚してください」の伏線になっている。
      • 四葉、二乃に謝ろうとして激昂される(#14-115)。
        • 「四葉、もう一度言ってみなさい。」「昨日のこと…それに今までのこと。二乃に謝らなくちゃいけないと思って…」「あんたが私にそれを言う意味わかってる? 私がずっとフー君のこと好きだって知ってたはずよ。それがわかってて昨日を迎えたはずでしょ。今あんたに心配なんかされたくないわ!」「心配だよ、二乃は大切な家族だもん」「それなら私とあんたはここまでよ。もしこのままの関係が続くようなら姉妹の縁を切らせてもらうわ。」
        • 風太郎が誰かを選択することによって五つ子の絆がどのようになるかについて最も覚悟ができていなかったのは四葉。その甘えに対して二乃に激昂されることに。一方で、一番家族の絆を大切に思っている二乃がこの立ち回りをするのが象徴的。四葉に足りなかった覚悟を持たせ、最後に五つ子の縁を丸く収めるのも二乃(#14-118)。
      • 一花、マンションへ。五月に二人がまだ付き合っていない話をする(#14-115)。
        • 一花から三玖に二人がまだ付き合っていない話を伝える(#14-116)。三玖、四葉と話すために四葉を海岸へ呼び出す。
      • 風太郎、信楽焼を相手に告白を特訓(#14-115)。
      • 四葉、三玖に呼び出されて海岸へ。二乃からの言葉に悩む(#14-115)。
        • (上杉さんか皆か、選ばないといけない。でも私は…)
      • 三玖、四葉に扮して四葉に会いに(#14-115)。
        • 「私、四葉。」「私が選ばれないのなら四葉になり代わってフータローと付き合う作戦。どうかな?」
          三玖の方は二乃の場合と違い、風太郎が自分を選ぶことはないという覚悟をしていたため、四葉を選んだことはサプライズではなかった。加えて、学園祭で四葉の方も風太郎に気があることに気付いている(#12-100)。
          四葉が風太郎からの告白を断る理由があるとしたら他の四姉妹への遠慮と思われるので、それが無意味であることを四葉に伝えるために、四葉と話をしたかったのだと考えられる。(四葉に変装したのは、四葉との会話の糸口を掴むための冗談だが、このあたりの不器用さは三玖ならでは、とも思われる。)
      • 風が強くて電車が止まってしまい、カラオケ屋で徹カラ(#14-115)。
        • 三玖、カラオケ屋の非常階段で一花に電話して、四葉と一緒であることを伝える。「そう、四葉も一緒。! うん…そっか。でも大丈夫。心配しないで。
          四葉と一緒であることを一花に伝えたところ、何かを言われて心配されているが、おそらく ① 二乃が四葉と会った後に怒り心頭(あるいは泣きながら)で家に帰ってきたこと(→ !)、② その原因が四葉からの言葉だったこと(→ うん…そっか)、③ 一花が三玖も同じようにケンカになることを心配した(→ でも大丈夫。心配しないで)と思われる。
        • 「冗談だから。私が四葉になり代わるってのは冗談。私は四葉の真似はできても四葉にはなれない。このジュースは私には甘すぎる。」
          実のところ、三玖は「風太郎を信じる自分」から、「自分を信じる自分」へと変わっているため、風太郎が好きだからといって、自分を捨てて風太郎が好きな自分を演じるつもりはない。ここからの一連の三玖と四葉の会話が秀逸です。
        • 「でも怒ってはいる。私だったらフータローを困らせるようなことはしない。一花から聞いたよ。フータローへの返事を迷ってるんだってね。四葉はフータローに少なからず好感持ってたと思ってたけど。」「迷ってない…私の気持ちはずっと前から変わってないよ。上杉さんのことを想い続けてる。」
          ここで三玖が四葉からの発言に面食らっている。三玖は四葉がそこまで(=自分と同じぐらい)風太郎のことを想っているとは想像していなかったため。
        • 「…まさか四葉の口からその言葉をハッキリ聞く日が来るなんて思わなかった。でもそれならなおさら躊躇する必要はないはず。どうせ前の学校のことでも気にしてるんでしょ。」「…私があの時皆を不幸に巻き込んだのに…」「四葉。私たちのことは気にしないで付き合っていいんだよ。…なんていうと思った? なんとなくわかってはいたけどそれでも悔しいものは悔しい。ごめんね。四葉が悪いわけじゃないのに。どうしても感情が荒立ってしまう。それだけ本気だった。もし四葉もそうだったなら私たちのこの感情も受け止めて欲しい。」
          なんとなくわかっていたけど=風太郎の気持ちが自分に向いていないこと、風太郎と四葉がお互いに惹かれ合っていることはなんとなくわかっていたけど
          それでも悔しいものは悔しい=やはり風太郎の気持ちが自分に向いてくれなかったことは悔しい。
        • 「二乃の気持ち…私はわかってあげられてなかった…怒られて当然だよ。」
          「二乃が言ってた。恋愛で私たちは敵でも仲間でもないって。」
          「…うん。」
          「そっか。そう思ってくれてるのなら。せめてもの抵抗。絶対に背中を押してなんてあげない。
          恋愛で私たちは敵でも味方でもない=お互いに競い合うライバルである、ということ(#14-118)。ライバルですらない四葉が、自分と競わずに風太郎を奪っていくのは心情的に許せないけれども、ライバルと競い合って負けたのならそれなら納得できる、という意味。#14-117 で二乃が語るように、三玖にも少なからず「いいわね。あんたは恵まれてて。何もしなくても向こうから来てくれるなんて気楽だわ。」という想いがある。競り合って負けたようにはとても思えないからこその悔しさがあるだけに、モヤモヤ感が晴れない。けれども、四葉が三玖をライバルとして思ってくれて、風太郎を勝ち取ったという意識を持ってくれるのなら心情的に納得できる。
          (恋敵(ライバル)なんだから)絶対に背中を押してなんてあげない、というのは、三玖から四葉に向けた最大のエールであると共に、姉妹に対して正々堂々と振舞うことを四葉に要求する言葉でもある。そしてそれは唯一、姉妹の絆を保ちながら四葉が風太郎と結ばれる道につながる答えでもある。言葉とは正反対に、三玖は四葉の背中をその道に向かって押してくれている。
          三玖のこの言葉の真意を理解して、四葉は徹カラの中で三玖とはっきりと競う姿勢を見せることで、三玖の気持ちに応える。
        • 「ごめん。さっきは譲ったけど。やっぱり私もこの曲歌いたかったんだ。聴いてて。三玖より絶対上手く歌うから。」
          「私より良い点取ってから言って。もちろん取られたら取り返すよ。」
          「望むところ!」
      • 四葉、三玖との徹カラ後に覚悟が決まり、他の姉妹と対峙することを決意する(#14-116)。
        • 「じゃあどうする? 帰らない?」「ううん。私…皆に会いたい。」
      • 三玖、海に向かって四葉のリボンを投げ捨てる(#14-116)。
        • 四葉はひとつ誤解してる。これはあえて四葉本人には言わないのだけれど。あの時今の学校に来る選択をしたからフータローに出会えた。少なくとも私はそれを不幸だとは思えない。フータローに出会えたから私は…
        • 私は四葉になれなかったけど。四葉だって私になれない。ようやくそう思えるほどに…私は私を好きになれたんだ。
          自分に自信がなくて人の顔色ばかり窺っていた(=自分が好きになれなかった)三玖は、風太郎に出会い、恋をすることで変わっていった。風太郎に振り向いてもらえることはなかったけれど、失恋を通して、自分のやりたいと思ったことを、たとえ結果がどうなろうとも全力でやり遂げることの大切さを知ることができた。結果として、頑張れる自分に対する自信を持つことができるようになり、他人を羨むことなく、自分を自立した存在として認められるようになった(=私は私を好きになれた)、というのが三玖にとっての物語。
          三玖はこの後、自分の意志で料理学校へと進み、自分のお店を持って、自分の力でそれを軌道に乗せようと頑張る。それは、他人(風太郎)の存在に頼らずに「自分の力で何かを成し遂げようとする」ことができるようになったことの証とも言える。作品中、最も大きく成長するだけでなく、思い悩む四葉の後押しをしたり、目標を失った二乃と一緒に歩むことを決めるなど、周囲に最もよい影響を与えたのも三玖である、と言えるかもしれない。
  • 学園祭後
    • 五月、いざ四葉と風太郎が付き合いそうになるとモヤモヤしてしまう(#14-117)。
      • 姉妹が心配と言っておきながら結局このモヤモヤの原因が私にあったなんて…そ、そんな訳ありませんよね。四葉の想いがようやく届いたんです。今更私が引っ掻き回すような真似はしません!
    • 風太郎、五月を食堂に誘うが、二乃を誘った四葉と食堂で出くわす(#14-117)。
      • 四葉 → 二乃に話がある(風太郎のことについて改めて話したい)
        風太郎 → 五月に話がある((告白を受け入れてもらえなかった)四葉のことを相談したい)
        雪が降っている=内心では動揺している、の比喩。
    • 二乃、四葉の体育大学への推薦の話を聞いて毒を吐く。「いいわね。あんたは恵まれてて。何もしなくても向こうから来てくれるなんて気楽だわ。」(#14-117)
      • 二乃は一花と三玖をライバルとみなしていたが、四葉をライバルとしては見ていなかったことによる発言。挙句の果てに四葉に付き合うことを認めて欲しいと甘えたことを言われ、行き場を無くした思いが四葉へのキツい言葉として表れている。
    • 五月、二乃を無理矢理教室に引っ張っていく(#14-117)。
      • 「結局あんたはどの立場なの? ハッキリさせなさいよ!」
        二乃と同じ失恋組なのか、そうでない傍観者なのかをはっきりさせろ、という意味にも取れるが、真意としては、本当に五つ子の絆を大切にしたいと思っているのか?(=当事者として関わるつもりがあるのか?) という問いかけ。
        四葉と二乃の距離を話して衝突を避けようする五月の行為は、結局のところ四葉が本質的に立ち向かうべき姉妹の問題から四葉を遠ざけていることに他ならない。風太郎が誰かを選ぶ限り衝突は避けられず、その衝突を乗り越えた先(お互いが本音をぶつけ合った先)にしか五つ子の絆は存在しない。二乃はそう思っているからこそ、表面を無難に取り繕って無難にやり過ごそうとする五月に対して怒りをぶつけている。
    • 五月、ネズミに驚いて暗闇の教室で風太郎にハプニングキスし、モヤモヤする気持ちの正体(=自分の恋心)に気付いてしまう(#14-117)。
      • 「すっ、すみませんっ!」(ずっと感じてる、このモヤモヤは…
      • (凄い…さすが上杉君。どんな時も冷静です…それとも私なんて動揺する価値もないということでしょうか…)「ふぅ…それにしても冷えるな。知ってるか? 寒いところでは雪降ってるらしいぜ。」
        五月がネズミに驚いて風太郎を押し倒してキスしてしまったところに二乃と四葉が教室に入ってきて、見咎められたら言い訳できないような状況に対して五月は激しく動揺する一方、風太郎はあたかも全く同様していないかのようにそぶりを見せる……が、雪が降っている=風太郎も内心激しく動揺している。
        さらにキスしてしまったことで自分の恋心に気付いてしまい、今まで当たり前のようにしていたことに対して急に気恥ずかしさを感じるようになる。
        「あ、あまり近づかないでください、こんな所…四葉たちにみせられません…」「…それなら…(スマホに貼られた五月・らいは・風太郎のプリクラを手で隠しながら)あっ、や、やっぱりダメです」(#14-117)
        なお、このシーンではキスそのものは明確に描かれていないが、単に風太郎を間違って押し倒した程度では、五月に自分の気持ちをはっきり自認させるには至らないはず。と考えると、キスをしてしまったと解釈するのが自然。
    • 二乃と四葉が本音をぶつけ合って仲直り(#14-117)。
      • 「今更なんなの? 私なんて無視して勝手に付き合えばいいじゃない!」
        「…これは…私と上杉さんだけの話じゃないと思ってるんだ。二乃と上杉さんのこれまでの関係を…三玖や一花、五月と上杉さんがこれまで過ごした日々を無視なんて私にはできない。私なりの覚悟を持って伝えに来たんだ。私の願いは上杉さんとの関係を認めてもらうこと。」
        「ただそれは今じゃなくていい。」「数か月、数年、どれだけ時間がかかるかわからないけれど…私が上杉さんをどれだけ好きなのか。この想いの強さを、見ててほしい。きっと負けてないから。」「私は上杉さんを好きなのと同じくらい姉妹の皆が好きだから。」
        ここで風太郎は二乃に対して四葉がはっきりと自分のことを好きだと宣言したことに対して動揺。と同時に、四葉がなぜ自分の告白をすぐに受け入れられなかったのかを知ることに。風太郎は四葉を選ぶことで五人の関係性が壊れることも覚悟していた(「何かを選ぶ時は何かを選ばない時」)つもりだったが、四葉は風太郎だけではなく五人の絆も大切にしようとしており、四葉の深い思いと強い覚悟(#14-119)を知ることに。
      • 「あんたはまだ私を競い合う相手として見てくれるのかしら。」「勿論だよ。私たちはずっとお互いを意識しながら生きていくんだ時には仲間、時には敵、そんな…」「ライバル…よね。
      • 「昨日のことがなければ大人しく祝ってあげようと思ってたのに…あんたがそのつもりなら私も言うわ。往生際が悪いのかもしれないけれど私のフー君への気持ちは収まる気がしないの。ここで勝負は終わってない。少し後ろであんたたちの行く末を見ててあげる。ほんの少しでも隙なんて見せたら私が彼を奪ってやるんだから。」「うん。」
        二乃はそう言いながら、実際には四葉が隙を見せることも、風太郎が自分を向いてくれることもないことを知っている。そしてさらにこの部屋に風太郎がいることも気付いている。つまりこの言葉は、四葉と風太郎に向けた最大のエールであり、風太郎への別れの言葉でもある。だからこそ二乃は涙を浮かべているし、四葉のエールの気持ちを真正面から受け止める四葉も涙を浮かべている。
    • 五月、四葉に真正面から勝負を申し込んだ二乃の言葉と、それを真正面から受け止めた四葉の様子に納得する(#14-117)。
      • なんででしょう。二乃と四葉を見てずっとモヤモヤしてた感情が無くなったからかもしれません。」「どういうことだ?」「あなたには秘密です。」
        五月がずっとモヤモヤしていたのは、① 自分の気持ちをはっきり認識していなかったこと、② 自分の気持ち(恋心)を認めてしまったら(それは嫉妬なので)その感情を捨てなければならないと思い込んでいたこと。(下田さんの言う通り、このモヤモヤの正体が嫉妬なのだとしたら、私はなんて悪い子なんでしょう…) しかし二乃が言い放ったセリフを真正面から四葉が受け止めたことで、風太郎と過ごした記憶も、風太郎を好きな気持ちも捨てる必要がないことに気付く。それによって、自分がずっと風太郎を好きだったということを認められるようになり、同時に風太郎と四葉の仲を祝福できるようになる。
      • (やっと言えそうです。上杉君、おめでとう。)
        五月は一花・二乃・三玖・四葉と違って、風太郎に対して明確な恋愛感情を向けることはなかったものの、行動だけ取ってみれば、風太郎の家へ上がり込んだり、らいはの母親的な立ち位置にいたりと、風太郎に対して非常に近しい距離にいた。それは風太郎も五月も恋愛感情というよりは家族に近い感情で接していたからだが、そうであるが故に、五月の恋愛は『気付いたときには終わっていた』。五月が高校時代を振り返ったとき、一番の思い出がゲームセンター(#14 キャラクター紹介)、つまり最後までそうだと気付かなかった自分の恋の始まりがゲームセンターだったと思い返しているのが象徴的で、この物語の描き方が非常に見事。
    • 風太郎、四葉をデートに誘う(#14-119)。家族でたまに行くファミレス → よく勉強に使う図書館 → 四葉との初デートで来た公園
      • 二人きりになることを狙うが、一花・二乃・三玖・五月に尾行される。
      • 「進学が現実味を帯びてきて…なんか…目標とか夢とか見えてきたんじゃねーかと思ってな。そこんとこどうなんだ?」「なんだか急な話題ですね。」「そ、そんなことないだろ。お前と二乃には聞けずじまいだったからな!
        四葉には「自分がない」=自分として積極的にやりたいことがない、というのは何度か描かれてきているが、実は二乃も「自分がない」。二乃の場合、小さい頃の夢は日本一のケーキ屋さん(#14-119)だが、物心ついてからの確たる夢や目標はなく、風太郎と家族への愛がすべて。風太郎に失恋し、さらに家族が少しずつ巣立っていく中で行き場を失ってしまうが、最後には三玖が二乃を頼る形で、二乃と二人の居場所(喫茶なかの)を作っている。
      • 「私はやっぱり誰かのサポートをして支えることが自分に合ってると思います。諦めから始めたことでしたが今ではそれも誇れることだと気づいたんです。」「そうか、お前らしいな」「いえ、そう思えたのは上杉さんがそうだったから。」「そう…なのか…?」「そうです!」
        このやり取りにはっきり現れているが、風太郎と四葉は似た者同士。風太郎はどんなに振り回されても自分に関わった人は絶対に大切にする面倒見の良いタイプであり、四葉もまた他の人に頼まれたら断れず、誰かのサポートをして支えることが性に合っているタイプ。
    • 風太郎、改めて四葉に告白(#14-119)。
      • 「四葉。もし俺がそこまで跳べたら聞いて欲しい話がある。見ててくれ。」
      • 「四葉! こんなデート一つこなすことのできない未熟者の俺だが、それでもお前の横に立って並べる男になれるよう精進する。正しい道も間違った道も一緒に歩いて行こう。だからお前がよければ…俺と…俺は…好きです。結婚してください。
      • 学園祭のときには風太郎から四葉へは「好き」と言っておらず、一花からの「最大限の恋愛表現をそのまま伝えればよい」というアドバイスから、「結婚してください」という飛躍した表現になった、というのが物語上の筋書き。しかし「付き合ってください」ではなく「結婚してください」だからこそ、この作品が成立する
        そもそもこの物語の着地がなぜ四葉なのか?(風太郎が四葉を選んだのはなぜか?) というと...
        • × 京都の少女の正体だったから。
          風太郎はクリスマスイブにお守りが流されたときに、流れていったお守りよりも皆を選んでおり、過去の呪縛からは解き放たれている。さらに風太郎は、思い出の少女=トランプの少女=零奈=五月だと思っており、その正体が四葉であることに気付いたのは結婚式の後。
        • 〇 高校時代に一番長く時間を過ごしている。
          林間学校、修学旅行、学園祭などはもちろんのこと、学級長など多くの時間を共に過ごしている。一方、一花や二乃、三玖たちの恋愛話は風太郎本人不在の場所で進んでいることも多く、作品中での描写は多いが、実際に過ごしている時間としては四葉が最も長い
        • 〇 お互いがお互いを支えあっている。
          いきなり崩壊しかけた家庭教師としての仕事を支えるところから始まり、学園生活・私生活の様々なところで、お互いがお互いを助け合っている。二乃や三玖はこうした対等性のある関係になれておらず、教師/生徒の関係性から脱することができていない
        • 〇 魂の形が同じ。
          風太郎と四葉の二人の原点(アイデンティティ)は、他の人のために頑張れる人間であること。魂の形を共有している
      • この中で最も重要なのは最後。よく「結婚相手と恋愛相手は違う」と言われるが、長期的な関係性を築くためには、二人の『根っこ』の部分の同質性が重要になる。片方がもう片方に合わせるのではなく、一緒にいて居心地がよい、恋愛的な駆け引きがない、そういった相性の良さが結婚には求められる。互いに支え合っていくことができる居心地の良い関係性はまさに夫婦関係の理想像そのものであり、「私はやっぱり誰かのサポートをして支えることが自分に合ってると思います」と語る四葉の理想がお嫁さん、というところも落としどころとして非常に納得感がある。
      • もちろん現実には、恋愛して付き合っていくことで相手から影響を受け、自分の魂の形が成長して変わっていくこともあるし、それがあるからこそ恋愛は素晴らしい(→ この恋はこれからのあなたをより輝かせてくれるはずです(#14-118))。実際、この作品の中で、三玖は風太郎への恋とその失恋を通して大きく変わり、成長している。けれども風太郎は頭でっかちな等身大の高校生として描かれているところがポイントで、端的に言えば、相手からの想いをしっかりと受け止めて、相手も自分も一緒に成長していくだけの度量が、高校時代の風太郎にはなかった。そのことが結婚式の五つ子ゲームのシーンではっきりと描かれている。
        「お前の強さはその人一倍の弱さの裏返しだ。厳しさもそれだけ大きな愛情があるからなんだろうな。あの頃の俺はその答えを見つけることができなかった。すまん。」(#14-122)
      • この恋愛観・結婚観をきちんと作品中に折り込んできているのには素直に驚きましたが、作者の春場ねぎ氏が既婚者というのを知ってなるほど納得。少年誌でここまでしっかり描き切ったのは本当に凄いです。
      • 「上杉さん。約束ですよ。いつかきっと私の夢を叶えてください。」
  • 受験前~初詣~受験
    • 五つ子、皆で卒業と入試に向けて勉強を続ける(#14-120)。
      • 「どんな目標もきっと一人では持ち続けられませんでした。何より…こうして皆で机を並べられた日々がとても楽しかったです。」
    • 一花からドラマの主演に決まった連絡を受けると共に、風太郎から皆に今後について言い出すことを促され、大学受験に合わせて東京に進学することを伝える(#14-120)。
      • 「どこにいても上杉さんを応援してます。上杉さんがそうしてくれたように。」
      • 「ありがとな。お前たちと会えてよかった。」
    • 五つ子、それぞれの道を目指す。
      • 四葉:推薦入学のための面接を受ける。
      • 五月:寝る間も惜しんで勉強し、入試に合格。「お母さん…私…やったよ…」
      • 一花:主演のドラマの仕事に励む。
      • 二乃と三玖:二人でお店を出すことを目指すことを決める。「夢とか目標とか…私もあんたたちみたいになれるのかしら。」「二乃ならできるよ。私たちなら…できる。」「…ふん。もう少しだけあんたに付き合ってあげるわよ。」「そっか。よろしく。」
      • 風太郎:東京の大学に合格し、実家を出ることに。
  • 卒業式
    • 五つ子、風太郎、マルオ、勇也の 7 人で記念写真。(#14-121)
      • 一花のみ卒業証書を持っておらず、卒業式には来たものの、実際には中退しているものと思われる。
  • 卒業旅行
    • 風太郎の提案で、全員で卒業旅行に。(#14-122)

[卒業後](2019/04~)

  • 島への旅行(2022 年頃)
    • 五つ子と風太郎、祖父に会いに島へ旅行(#8-68)。
  • 結婚式(2024 年頃)
    • それぞれが別の生活を歩み始めている。
      • 一花:女優として活躍。今後を見据えてアメリカにも出張。
      • 二乃:三玖と一緒に喫茶なかのを経営。一花のインスタを定期巡回。
      • 三玖:風太郎の母のお店を勇也から借りて喫茶なかのを経営。ヘッドフォンを外す。
      • 四葉:大学卒業後、東京に引っ越して風太郎と同棲。風太郎の呼び方も変化。
      • 五月:先生として働く。
    • 結婚式直前(朝)
      • 喫茶なかので五つ子が合流。四葉、ピアスの穴を開けてもらい、零奈の形見のピアスをつける(#14-121)。
      • 会場に先に行っている風太郎、結婚指輪を忘れたことに気付き、実家のらいはに電話(#4-32)。
    • 結婚式 (#4-32, #8-61, #8-68)
      • 親族紹介で、新婦側の親族が祖父と祖母しかいない(#4-32)。
        • 風太郎側の親族は、勇也+その両親+亡き母の両親+らいは。
        • 四葉側の親族は、祖父と祖母のみ。父親(マルオ)は四葉と風太郎の結婚が認められずに会場に来ない。五つ子は準備(五つ子ゲーム)のために誰も出てこない。
        • 勇也、マルオに電話して焚きつける。
      • らいは、風太郎に指輪を届ける (#4-32)。
        • 腕にらいはが渡したお守りをつけてくれていることに気付く。
      • 結婚式に、一花・二乃・三玖・五月、マルオが姿を見せず(#14-121)。
        • 五つ子はバージンロードに現れた四葉のみ。
      • 指輪の交換、風太郎が指輪を忘れていることに気付く (#8-68)
      • 誓いのキスで風太郎が緊張。
        • 「ふふっ、風太郎、緊張してるの? 五年前のあの日を思い出して。初めてじゃないでしょ」 (#8-61)
        • 懸賞旅行の誓いの鐘でのハプニングキスのこと。当時、風太郎は一花にキスされたと思っており、すでにすっかり忘れていたが、四葉に言われて当時のことを思い出すことに。
    • 披露宴直前 (#14-121)
      • 風太郎、係の人に新婦の姉妹が来ていないか尋ねる(#14-121)。
        • 「新婦の…姉妹を見ませんでしたか?」「はい、お早いうちからいらしていましたよ」「そうですか……」「新郎様、新婦のご親族様がお越しくださいました」「良かった!来てないかと思ったぞ。なんで式に出てくれなかったんだ?」
          実際にはもちろん五つ子ゲームファイナルの準備のために朝からやってきてメイクと着付け。親族紹介もすっぽかし、結婚式にも参列せず。
      • 風太郎、マルオと会話(#14-121)。
        • 「上杉君。単刀直入に聞く。四葉は心から喜んでいるかい?」「! はい。僕も同じく。」
        • 「一人の女性を一生かけて愛する。俺は…そんな男になりたい。二人の父のように。
      • 五つ子ゲームファイナルで 5 人を完封してみせる(#14-121)。
        • 「それでも強くあろうとする姿が俺には眩しく見えた。大した長女だよ、お前は。」
        • 「お前の強さはその人一倍の弱さの裏返しだ。厳しさもそれだけ大きな愛情があるからなんだろうな。あの頃の俺はその答えを見つけることができなかった。すまん。」
        • 「俺が答えるまでもない。お前はそうやって常に自分の不安と戦ってきた。そうして勝ちえた結果は間違いなくお前の戦果だ。自分を信じろ。お前は昔からできる奴だ。」
        • 「この…焦らせやがって…この際だから言わせてもらうが。お前に会ってからだ! 俺の人生が狂い始めたのは! 諸悪の根源! 妖怪カレー喰い女!」
        • 「…で、余ったお前が四葉な。はい全問正解。」
        • 「これだけ長く付き合ってりゃ嫌でも覚える。俺は家庭教師だったがお前たちからも多くのことを教わった。お前たち五つ子に出会えたこと。数少ない俺の自慢だ。」
    • 披露宴 (#14-122)
      • ケーキカット・ファーストバイト → 祝辞 → お色直し → 新婦からの感謝のメッセージ
    • 披露宴後
      • 風太郎、四葉の言葉で、懸賞旅行の誓いの鐘のハプニングキスのことを思い出す。その正体が実は四葉だったことを念のため確認しようとする(#14-122)。
        • 「もしかしてあの時…」
      • 四葉、トレードマークのリボンを処分してもらう(#14-122)。
        • 「ごめんなさい、やっぱりもう要らないので捨てておいてください。」
          「いいのか? トレードマークだろ?」
          「いいんだよ。どんなにそっくりでも…私に気づいてくれる人がいるから。」
          もともと四葉がリボンを付け始めたのは、京都に風太郎で会ってから努力をするようになり、自分だけが特別な存在だとアピールするようになったため。けれどもそんなリボンがなくても風太郎には見つけてもらえる(全部わかってもらえる)という自信が持てるようになり、リボンを捨てることに。この言葉で、誓いの鐘でキスした相手が四葉だったどころか、さらに遡って、実は京都の思い出の少女までも四葉だったことに思い至る。
    • 披露宴後、全員で新婚旅行の行き先を決めることに(#14-122)。

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