まずは電視観望に必要な機材から。
- 必須
- CMOS カメラ
- 鏡筒
- パソコン
- ほぼ必須
- 光害フィルター
- あると便利
- 自動導入経緯台 (GOTO 経緯台)
- アリガタプレート
- 三脚
- 各種ねじ
順番に説明していきますー。
[CMOS カメラ]
アイピースのかわりに利用するカメラ。一眼レフなどのカメラで代用できないか……と考えがちですが、① パソコンのソフトとの相性が極めて悪い、② 重たいので望遠鏡の鏡筒につけるのが大変、などの難点があり、やはり専用品を購入するのがオススメです。メーカーとしてはPlayerOne、ZWO が二強で、他に SVBONY などがあります。
この CMOS カメラの選び方は、通常のデジカメの場合とはかなり違っていたりします。センサーはほぼ SONY 一択で、これを各社がカメラに仕立てているのですが、画素ピッチとセンサーサイズに様々な種類があり、しかもほとんどは通常のデジカメと比べるとかなり小型のセンサーです。
普通のデジカメだときれいに映したければなるべく大きなセンサーを……となるのですが電視観望の場合は少し違っており、まず重要なのは画素ピッチとセンサーサイズの 2 つ。
- 画素ピッチ : センサーの集光能力を大きく左右する。これが大きいものはかなり安定した撮影が可能。
- センサーサイズ : 切り取れる空の面積を決める。これが大きいと、同じ鏡筒でも切り取れる空の面積が広い。
デジカメだと、センサーサイズが小さくてもズームレンズを使ったりレンズを交換すればいいじゃないか、となるわけなのですが、天体観測の場合だとレンズに相当する鏡筒が単焦点で、そもそも高額なために何本も使えないので、どちらかというとセンサーサイズは切り取れる空の面積、と考えた方がわかりやすいです。(=35mm 換算、みたいな考え方は天体観測の場合はない、ということです)
私は PlayerOne の Ceres-C と ZWO の ASI585MC を持っているのですが、初心者にまずオススメなのが Ceres-C。値段も安価なのですが、なによりもノイズがほとんど出ないため取り回しや撮影が非常に簡単です。後から購入した ZWO の ASI585MC の方はノイズに相当苦しめられており、なるほどセンサーサイズは大きければいいってもんじゃない、というのを思い知りました;。ちなみに敢えて ZWO を購入したのは ASIAIR が使えるからなのですが、これについては別途。
[鏡筒]
そもそも電視観望で何を見たいのか、によって鏡筒を使い分ける必要があります。というのも、普通の恒星はただの光る豆粒でしかないので、電視観望で見るものとなると、
- 太陽系の惑星(月、土星、木星)
- 星団(球状星団など)
- 星雲(干潟星雲、オリオン大星雲など)
- 銀河(アンドロメダ銀河など)
となるのですが、惑星や星雲、銀河というのは地球からの距離によって見える大きさが全くといっていいほど違います(当たり前;)。このために何が起こるのかというと、見たいものによって、焦点距離の違う鏡筒を使い分けなければならない、ということが発生します。……いやー、望遠鏡沼ですよ、沼;。
とはいえ、おおざっぱにオススメの焦点距離というものはあって、星雲や銀河を中心に観測したい場合には、だいたい 200~800mm 程度。特に 200mm 程度の焦点距離に関しては、\6,000 ぐらいで購入できる Newtony というオモチャの反射望遠鏡があり、電視観望ではこれが結構人気です。
これの難点は、Ceres-C 以外の CMOS センサーではピントが合わない(正確にはピントが合う位置にセンサーの面を持ってくることができない)ということで、Newtony + Ceres-C の専用セットになってしまうのですが、一方で初心者用という意味では非常に扱いやすく、値段としてもかなり安価なのがよいです。
一方で、他のセンサーも使うことを考えると、実際の安価な鏡筒としてのオススメはこちら。
SVBONY のガイドスコープ 240mm f/4。1 万円前後で購入できるのですが、こちらは他のセンサーでも普通にピントが合うので使いやすいです。難点は自動経緯台に取り付ける際にアリガタプレートという土台を別途購入する必要があることですが、これは後述。
ちなみに 200mm 程度の鏡筒で見ていると、もっと焦点距離の長い鏡筒が欲しくなる……のですが、焦点距離の長い鏡筒になると今度は別の問題が出てきます。
- 明るい鏡筒を使いたい場合には、事実上、大口径の反射望遠鏡一択になる。土星や木星、月などは焦点距離 1,000mm 以上で f 値は 13 ぐらいの暗くて細い望遠鏡でもぜんぜん行けるのですが、銀河や星雲などの暗い天体を見る場合には、大口径の鏡筒が必要になってきます。
- それだけの大口径になると、とてつもなく重たくなるので、それを支えられる三脚や自動経緯台・自動赤道儀のコストが跳ね上がっていく。例えば私が使っている安価な自動経緯台の AZ-GTi は耐荷重 5kg で、これに収まる大口径の反射望遠鏡となると非常に限られます。
- またさらに、焦点距離があまりにも長い鏡筒を使うと、今度は自動経緯台・自動赤道儀などの追尾性能が問題になります。要するに天体がどんどん動いてしまってしまうので、それをどう追尾するかが問題になります。自動的に追いかける自動経緯台や自動赤道儀なども追尾精度には限りがあるので、1,000mm あたりを超えると安価なものでは追いかけきれなくなります。
大口径の反射望遠鏡を使いたい場合にオススメできそうなのが、Sky-Watcher の反射望遠鏡。特に P130 VIRTUOSO GTi は 5 万円程度で 650mm f/5 の鏡筒と AZ-GTi 相当の自動経緯台がセットになっており、超お買い得です。ちなみにシュミットというお店ではアウトレット品が 31,800 円で売られており、思わずポチりました;;。
……っていうかでかすぎる;;。送られてきた荷物を見てちょっと後悔したのは秘密です;。
ちなみに、鏡筒の焦点距離と CMOS カメラのセンサーサイズで、様々な天体がどれぐらいのサイズに映せるかは計算できるのですが、これを直感的に調べられるツールがあります。それが Stellarium というフリーウェアです。センサーサイズと焦点距離を入力すると、天体をどの程度のサイズで映せるかが簡単にわかる上に、リアルタイムで天体が動いていくので、自動追尾しない場合にどれぐらいの速度で天体が画角から外れていくのかもわかります。これは超便利。例えば ASI585MC を使って M8 (干潟星雲)を映す場合、650mm と 240mm の鏡筒ではこれぐらいサイズが違って見えます。
一方で、ボーデの銀河なんかだと 650mm + ASI585MC でちょうどいい感じ。
ちなみに画角いっぱいに映せるといいなと思われるかもしれませんが、今度は別の問題があって、そもそも望遠鏡を正確にその方向に向けることができるのか、という課題が発生します。自動経緯台とプレートソルビングという方法を使ってこの問題を解決していくのですが、それは次のエントリにて。
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