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電視観望 : 必要機材 Part 2

というわけで、前エントリの続きを。

[自動導入経緯台]

さて、お手軽な電視観望に絶対に欠かせないアイテムといえば、やはりこちらかと。

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自動導入経緯台。望遠鏡を狙った方向に向けてくれる便利アイテム。以前はかなり高価なアイテムだったのですが、制御をすべてスマホやパソコンに丸投げすることで劇的なコストダウンを図ったのが SkyWatcher 社の AZ-GTi。単体だと \40k 弱ぐらい。使い方はこんな感じで、三脚の上に取り付け、さらに側面に望遠鏡を取り付ける、という仕組みです。

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単3電池 8 本で動くものなので、当たり前ですがあまりにも巨大な望遠鏡をつけると、倒れたりモーターで回せなかったりします。スペック上は 5kg 上限と書かれていますが、まあ 1~2 kg 程度の鏡筒が取り回しも容易で便利という印象。例えばアトラス 80 の鏡筒を取り付けてみたのですが、これで天頂付近を見ようとすると、鏡筒と三脚が衝突します;。

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この AZ-GTi の優れたところは、ファームウェア書き換えで赤道儀化できることだと言われているのですが、実際にやってみたらこれが地獄でした;。

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  • 自動導入赤道儀化するためには、少なくとも ① 微動雲台と呼ばれる仰角調整用の部品、② カウンターウェイト、③ カウンターシャフトの 3 つが必要なのですが、これがチリが積もれば的にお金がかかります;。②③は M12 のずん切りボルトで代用している人もいるのですが、実際にやってみるとなかなかうまくいかず、経験者でないとかなり厳しいという印象。
  • さらに難しいのが三脚上での組み立て。しっかりボルト類を締めこんでいかないと回転時の精度が出ませんし(=指定した方角をきちんと向いてくれない)、上のような状態で使うと、回転時にバランスを崩して三脚ごとすっころびます;。(なので実際には三脚の足をかなり広げないと安定しない)
  • しかも上記のような形の悪い三脚+望遠鏡を持ち出すのも非常に大変です。私はマンションの屋上にこれを持ち出しているのですが、持っていくだけでも一苦労;。カウンターウェイトとかつけてるので無駄に重たいんすよ……orz。
  • これだけで済むかと思いきや、極軸合わせという難敵が。鏡筒を北極の方向に正確に向ける必要があるのですが、これがまあ相当に大変;。スマホ程度のコンパスでは全く精度が出ません;。後述するプレートソルビングを使う前提であればそこまでの精度は要りませんが、まともに追い込もうとすると設置・設定だけでかなりの時間を食います;。

そもそもなんで赤道儀なんか使うのか、というツッコミもあって、冷静に考えてみると、確かにデジカメなどで長時間露光して写真撮影するためには赤道儀が必須……なんですが、ライブスタックと呼ばれる画像処理でお手軽に星雲などを観望(=眺める)だけならそこまでの追尾性能は要らないんですよ;。

……まあせっかく組み立てたので、ASIAIR が来たら赤道儀の方も使えるようにしようかな、と思っていたりしますが、お手軽に電視観望したいのなら、初心者が AZ-GTi を自力で赤道儀化するのは全くオススメできない、という感じがします;。

それよりも個人的にオススメしたいのは、前エントリでも書いた P130 VIRTUOSO GTi です。

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もともとは鏡筒狙いで購入したのですが、正直なところ、これにそこそこ巨大なセンサー(1/1.2” ぐらい)をつけて電視観望するのが最もお手軽感が強いです。AZ-GTi は単体で \40k 弱ですが、ほとんど同じ値段で 650mm の鏡筒が付いているので、余ったコストを CMOS センサー側に回すことができます。650mm 鏡筒 + 1/1.2” センサーは 200mm 鏡筒 + 1/3” センサー(いわゆる Newtony + Ceres-C の定番セット)と同程度の画角があり、それでいながらセンサー解像度が圧倒的に高いので、映りが大きく変わってきます。撮影条件が違うので比較は難しいのですが、こんな感じ。

  • Newtony 200mm + Ceres-C (1/3”)
    M8_20220526
  • P130 650mm + 585MC (1/1.2”)
    M8_干潟星雲_Stack_72frames_144s_WithDisplayStretch

P130 の方は見た目が激しくダサいのですが;、一方で持ち運びも簡単で、ポンと置いて使えるあたりの取り回しの良さが素晴らしいという印象。いろいろやった結果として、もうこれで十分、という感じになっちゃいましたよ;。ちなみにこの P130 + 585MC でも相当いろんなものが撮影できます。夏場に一晩でさくっと撮影したのがこんな感じ。

  • M8 干潟星雲
    M8_干潟星雲_Stack_72frames_144s_WithDisplayStretch
  • M13 ヘルクレス球状星雲
    M13_ヘルクレス球状星団_Stack_53frames_106s_WithDisplayStretch
  • M16 わし星雲
    M16_わし星雲_Stack_86frames_172s_WithDisplayStretch
  • M17 オメガ星雲
    M17_オメガ星雲_Stack_59frames_118s_WithDisplayStretch
  • M20 三裂星雲
    M20_三裂星雲_Stack_20frames_40s_WithDisplayStretch
  • M27 亜鈴状星雲
    M27_亜鈴状星雲_Stack_64frames_128s_WithDisplayStretch

ちなみにそれぞれ 2~3 分ぐらいのライブスタックしかしていないのですが(これ以上やってもたいして画像はよくならないです)、まあこれだけ見えれば十分じゃね……?という印象です。

[アリガタプレート]

さて、鏡筒を経緯台に取り付ける際には、ビクセン規格のアリガタプレートというものに鏡筒を取り付け、それを取り付けるのですが、このアリガタプレートがなかなかの曲者。

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amazon では結構安いものも売っているのですが、微妙に太かったり細かったり、さらに切られているネジ穴の形がおかしかったりと、うまく取りつけられないものが結構あります。結果として、いろんなネジを探したり追加購入したり……というのが相当面倒です。

値段はちょっと張るのですが、Kenko のリバーシブルマウントプレート KF-RM というのが非常によくできており、たいていのものが取り付けられるすぐれたプレートになっており、使いまわしもできて便利でした。……が、こういうのがちまちまとコスト高につながるので、やはり P130 のようなオールインワンセットは便利かつトータルとして安価です。部品を DYI できるのであればまた話は別なんでしょうけれども。

[光害フィルター]

また、都心部で電視観望したい場合には、やはり光害フィルターがマストアイテムです。

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フィルターには様々な種類がありますが、光害に強いフィルター=通す波長を選別してしまうので、色乗りが悪くなったり見づらくなったりする、という難点があります。特に銀河は非常に苦手で、光害の波長と銀河の波長がだいたい同じなので、まともに映らないと思った方がよいという印象。M31 アンドロメダ銀河はもやがかかったような感じになるだけだし、M33 さんかく座銀河は撮影後にパソコンで画像を相当いじった上で、心の目で見てようやくうっすらと腕が見えるかどうか、という感じです。

M31_アンドロメダ銀河_Stack_111frames_222s_WithDisplayStretch M33_さんかく座銀河_Stack_160frames_320s_WithDisplayStretch - コピー

とはいえ、上の方に並べた星雲の写真はいずれもこのフィルターを使ったもので、本当の都心のど真ん中から電視観望をしているにもかかわらずこれだけ映るのには驚きです。肉眼では 1 等星ぐらいしか見えないのにここまで撮影できるのは本当に凄いですね。


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コメント(1)

何と言うか、手軽にということで、ミニPCを購入したのに、
色々と拡張していってしまい(ここが底なし沼っぽい・・・)、
結局、デスクトップ並になってしまった、という感じがしますよぉ。


しかし、そこまでして撮影された画像は素晴らしいですね。
近く(葛飾区)の博物館に、結構大型の望遠鏡があるのですが、
ここまでは大きく見えなかった気がします。


これが個人で、しかも都会で撮影出来るとは、凄いですね。

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